2024.10.08

なぜポストエディットは必要なのか?

AI翻訳ツールをはじめとした機械翻訳は、近年目覚ましく進化しました。同時に、機械翻訳結果の修正を行うポストエディットの需要が高まっています。近年の翻訳ツールの精度は人の手による翻訳と変わりないほどに上がっています。それほど機械翻訳ツールの精度が高まっているのであれば、ポストエディットの工程は必要ないのでないかと疑問に思うかもしれません。

本稿では、なぜ機械翻訳ツールでの翻訳後にポストエディットが必要なのかについて、ポストエディットの特徴を解説しながら見ていきます。

ポストエディットとは?

ポストエディットは、AI翻訳ツールをはじめとした機械翻訳の翻訳結果文章の正誤のチェックを行い、必要な箇所を手直しすることです。ポストエディットでは、意味の通らない部分を修正して人の手による翻訳に近づけ、訳文の精度向上が目的です。

ポストエディットでは、翻訳ツールの翻訳結果の訳漏れや数、性別、文法などの間違いを正すだけでなく、より正確で流暢な文章、スタイルなど状況に合わせた翻訳へと修正します。資料や他の補足情報を参考に、主語を補ったり正しい表記、内容修正を施したりして、文化背景に配慮するなどコンテクストに合った文章へと変えていきます。

このように、ポストエディットは、機械翻訳による翻訳結果をより正確にして、読みやすく変える工程だと言えるでしょう。

なぜポストエディットが必要なのか

近年の機械翻訳ツールは進化しており、人の手による翻訳と遜色ないほどの翻訳結果となる翻訳ツールも多くあります。それならば、ポストエディットという手間をかける必要はないのでは、と思うかもしれません。しかし、実際にはポストエディットは機械翻訳後に必要な工程です。それは、いかに機械翻訳ツールが進化しても、現時点では訳出された文章が正しいかどうかをチェックするのは人の手に頼らざるを得ないからです。

翻訳結果が正しいかどうかを人が判断し、修正が必要かどうかを決定し、必要であれば修正するという流れになります。修正の要否を判断することも人間に頼らざるを得ないため、機械翻訳後のポストエディットは必要な工程なのです。

ポストエディットは意味がない?

機械翻訳の後にポストエディットを行えば、機械翻訳の利用の幅は広がります。しかし、元の文章が文法的に正しくない、長文が多い、内容が専門分野で独特であるなどの理由で、ポストエディットに時間がかかり過ぎるケースもあります。結果として人手による翻訳と同じ、もしくはそれ以上の時間がかかってしまい、コスト的にもかえって高くなってしまうケースもあります。

メリットであるはずの時間短縮もコスト削減も活かせないポストエディットでは、メリットがあるとは言えません。ポストエディットのメリットを享受するには、精度の高い機械翻訳ツールを利用する、専門分野であれば特化エンジンを利用する、日本語からの翻訳の場合は主語を必ず入れる、長文や文のねじれを避けるなど元の文章を整えることで、翻訳結果を向上させたうえでポストエディットを行うとよいでしょう。
機械翻訳とポストエディットの組み合わせは、翻訳のあり方を大きく変えました。翻訳スピードによる生産性なのか、翻訳品質なのか、状況に応じてちょうどよい着地点を見つけることが大切です。

ポストエディット依頼成功のヒント

ポストエディットを機械翻訳後に行うのは、一般的な人手による翻訳よりも迅速な翻訳が望まれる場合が多くなります。そのため、人の手による翻訳と大差ないほどの修正を行うと、コストとスピードという機械翻訳のメリットが活かせない可能性もあります。
そこで、ポストエディット依頼の際は、翻訳スピードと精度のどちらが重要なのかによって、ライトポストエディットとフルポストエディットのいずれかを選択するとよいでしょう。

ライトポストエディット
大意が伝わればよい程度の最小限の手直しで、大きな間違いでない限り修正は行いません。時間を優先したい場合におすすめの方法です。

フルポストエディット
一般的な人の手による翻訳と並んで、機械翻訳独特のエラーなども鑑みた修正作業となります。翻訳の修正から、文章のスタイル、文化背景・コンテクストを考慮した修正など、人手による翻訳結果のような流暢さが期待できます。機械翻訳ツールの精度や元の文章次第では、大幅な修正が必要となり、コスト・時間共に人手による翻訳と大差がなくなってしまうケースもあります。

このように、ポストエディットを依頼する際は、目的、納期、コストなどに合わせて、ライトポストエディットまたはフルポストエディットを選択するようにして、機械翻訳とポストエディットのメリットを活かすとよいでしょう。

十印のポストエディット

十印では、高い翻訳・ポストエディットの技術を持った経験豊富なポストエディターが、お客様のご要望・翻訳目的に合わせ、ライトポストエディットからフルポストエディットまで機械翻訳の訳文の最適化を迅速に行います。

ポストエディットの国際標準規格ISO18587に基づくフルポストエディットサービスでは、AI翻訳によって訳出された文章の精度を高めた最適な翻訳を可能にします。

高品質なポストエディットサービスをご検討中なら、是非、十印にお問い合わせください。

まとめ

十印では、文書・映像などの各種翻訳、ポストエディットなど、歴史ある翻訳会社ならではの翻訳のプロによるトータル翻訳サービスを提供しています。

AI機械翻訳ツールのご利用から翻訳まで、翻訳に関するお問い合わせなら、お気軽に十印までご連絡ください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

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