トランスクリエーション

グローバルなコミュニケーションの増加と共に、翻訳の必要性が増しています。文化・習慣の異なる地域への訴求は、翻訳だけでは十分とは言えず、近年では新たな手法として、トランスクリエーションが使われる機会が増えています。

AI翻訳ツールの利用が増えている昨今、人の手による翻訳の中でも特に人間の創造性を最大限に利用する手法が、トランスクリエーションです。

■トランスクリエーションとは

トランスクリエーション(transcreation)とは、「翻訳(translation)」と「創造(creation)」を組み合わせた造語です。翻訳にクリエイティブな意訳を加え、現地の文化・習慣、嗜好、流行に適応させ、訳語に訴求力を持たせる翻訳です。

一般的な翻訳では正確さが重視されるのに対し、トランスクリエーションでは元の文の大意を押さえたうえでクリエイティブな翻訳をすることが可能です。翻訳の自由度が高いため、キャッチコピー的な役割で使われることも多く、グローバルビジネスで広告やマーケティングに最適な翻訳手法として、近年重要視されている翻訳手法です。

■トランスクリエーションの特徴

トランスクリエーションでは、直訳である場合もありますが、かならずしも単語単位で同じ意味とはならないケースも多くなります。そのため、一見トランスクリエーションによる表現が間違っているように見える可能性もあります。

また、トランスクリエーションでは、文・コピーの長さ、韻を踏む、リズム感、ビジュアル的に商品などのデザインに合う、漢字とかなの使い分けなども大切な要素です。

このように、トランスクリエーションは、元の表現を別の言語に置き換える作業ではなく、別の言語によるコピーライティングをする作業であるとも言えるでしょう。

■トランスクリエーションの役割

トランスクリエーションの最大の目的は、共感を得られる翻訳であり、コピーライティングで与える効果と同じです。異なる言語の背景には、異なる文化、習慣、感情、思考方法、流行、嗜好、社会の潮流など、さまざまな異なるバックグラウンドがあります。その異なるバックグラウンドを持つ読者に伝えたいメッセージを理解してもらうことが、トランスクリエーションの役割です。

直訳・意訳に関わらず、原文に込められた意図を汲み、翻訳言語として自然な表現で、元の言語による表現と同じインパクトを与えてメッセージを伝え、結果として読者の共感が得られるのであれば、トランスクリエーションとしては成功です。

■トランスクリエーションとローカリゼーションの違い

トランスクリエーションと似ているローカリゼーションは、ターゲットとなる地域の文化・習慣、嗜好、流行などに合わせる翻訳です。ローカリゼーションは原文をより自然に、理解しやすく翻訳することです。一方、トランスクリエーションは創造性で翻訳を補い、インパクトのある表現で訴求効果を高める目的があります。

クリエイティブな翻訳ということで混同されやすい、クリエイティブライティングがありますが、トランスクリエーションとは次のポイントが異なります。クリエイティブライティングは原文なしで別の言語のコンテンツを作成する方法であるのに対し、トランスクリエーションは原文を基に翻訳することが基本です。

■トランスクリエーションのメリット

トランスクリエーションのメリットは、訴求力の高さです。翻訳のみでは伝わらない情報やニュアンス、イメージなど、一般的な翻訳による情報の不足を補い、より多くの情報伝達ができるのがトランスクリエーションのメリットです。

もう一つのメリットは、わかりやすさです。文化・習慣の違いなどから理解しにくい内容を説明するには、説明文をつけるという方法もありますが、インパクトに欠け、読みやすいとはいえません。一方、トランスクリエーションを使えば、一言で表現することも可能です。そのため、一般的な翻訳文だけでは伝わりにくい内容や表現を、説明的な文章以外のわかりやすい方法で伝えて共感を高め、マーケティング効果の向上へとつなげる、コピーライティングのような翻訳技法が、トランスクリエーションであるともいえるでしょう。

■トランスクリエーションの効果

1. 共感による訴求力の向上
グローバルになっているビジネスでし烈な競争に勝ち残るには、いかにインパクトあるメッセージを伝えられるかが重要です。適切な時、適切な場所でトランスクリエーションを使ったインパクトあるメッセージを伝えれば、ユーザーの印象に残りやすくなります。ユーザーは印象に残った情報から共感を得やすいため、ブランドや企業のファンが増え、信頼関係が築けるでしょう。信頼関係が構築できれば、ファンマーケティングを活用し、中長期的な購買継続や情報拡散が期待できます。そのためには、翻訳言語の地域に合わせたローカライズと、心を捉える翻訳トランスクリエーションにより共感が呼べるかどうかがカギとなります。

2. 信頼できる企業・ブランドの証
トランスクリエーションのもう一つの効果は、企業やブランドの信頼度を高められることです。怪しげな日本語のウェブサイトを見て、オンラインショップで商品やサービスを購入したいと思うでしょうか。おそらく、そういったサイトは避けるユーザーがほとんどでしょう。そのため、より自然な表現を使ったトランスクリエーションによる翻訳は、企業やブランドが信頼に値するというアピールになります。

■トランスクリエーションの使用例と注意点

コンセプトやメッセージを端的に伝えられ、ブランディングにも最適なトランスクリエーションは、翻訳の必要などーンでも活用できる翻訳手法です。

ウェブサイト、SNS、広告のキャッチコピー、商品パッケージ、ポスター、パンフレット、動画による企業紹介など、様々なシーンでトランスクリエーションが使われます。

動画にトランスクリエーションを利用するイメージがわきにくいかもしれませんが、動画全体とは限らず、テロップや字幕に部分的にトランスクリエーションを効果的に使うことも可能です。

言語や文化の壁を越え、ポジティブな印象を与えるトランスクリエーションは、商品やサービスのブランディングに最適であるため、幅広いプロジェクトに対応できます。しかし、トランスクリエーションは、一般的な翻訳と比べ、対象マーケットの文化・習慣および流行などに関する知見、マーケティングに関する知識、翻訳言語に関する卓越した能力、コピーライティングのスキルなどが必要です。そのため、一般的な翻訳の能力では十分ではありません。そのため、専門知識のあるライターのいるサービスを選ぶと安心です。

■ビジネスにおけるトランスクリエーション

マーケティングに使われることの多いトランスクリエーションは、ビジネスにおいて訴求力を高めるのに適しています。なぜなら、トランスクリエーションでは、短いメッセージの中に、企業の思いだけでなく、社会の潮流に合わせてターゲット顧客の求めるものを伝えるメッセージ、つまりマーケティングにおいて重要な要素が凝縮されているからです。

トランスクリエーションでは、多くの情報を文化・習慣、言語や市場の違いなど異なる背景の言語間の齟齬がないように表現する必要があります。そのため、一貫したコンセプトやデザイン性なども重要なポイントです。

また、近年では、広告やブランディングに動画を使う機会も増えており、コミックやゲームと並んで、今後もさまざまな分野でトランスクリエーションの活用が期待されます。

■十印のトランスクリエーション

十印のトランスクリエーションは、心に響く翻訳以外にも、次のようなポイントが他と違います。

・ライティング力の高さ
高い翻訳技術とライティング力を兼ね備えた経験豊富な十印が、お客様にぴったりのトランスクリエーションを提供します。ドキュメント作成に携わり、マーケティング知識のある翻訳者の育成を行うことで、訴求力を高めるお手伝いをいたします。グローバルビジネスの成功を見据え、トランスクリエーションを通じて顧客が求める情報を「刺さる」メッセージで伝え、ターゲット層の心を掴みます。

・半世紀にわたる翻訳に関するノウハウ
十印は翻訳会社としての歴史が半世紀以上にわたり、マーケティングに最適な翻訳に関するノウハウを蓄積しています。製品・サービスの特徴や企業・ブランドのイメージを伝える幅広い翻訳に対応し、ターゲット顧客やエリア・商材に合わせたトランスクリエーションで、メッセージを効果的に訴求します。

また、プロジェクトマネージャーを中心としたプロジェクトチームを編成することでお客様のご要望を実現します。

PMを中心としたプロジェクト体制

心に響くトランスクリエーションで、グローバルビジネスでのマーケティング効果を高めたいとお考えなら、どうぞお気軽に十印にお問い合わせください。

十印では、お客様のご要望に合わせ、原文に忠実な翻訳から、ローカリゼーション、商品やブランドのストーリーを伝えるトランスクリエーションまで柔軟に対応し、グローバルビジネスでの訴求力向上と差別化をサポートします。

グローバルビジネスの成功に向け、一段上の翻訳「Transcreate Beyond」を、是非、お試しください。

Transcreate Beyondサービスについてはこちら

backtotop