2017.12.04

【十印の歴史】(6)—助ける人あればだます人あり

命がけの仕事の日々が始まる・・・

「十印の歴史(5)」の続き

こうして手伝いに来てくれた何人かの方々が会社にそのまま残ってくださり、会社は少しずつ大きくなっていきました。

この国際会議の仕事では、半年ほどは社員全員がやっていかれるぐらいの資金になりました。
しかし、そうこうするある日、支払い担当者が、支払うはずの給与を友人に勝手に貸してしまい、払えないと言い出しました。なんとかしなくてはならないので、私は父に電話で頼み込み、翌日にはどうにか都合をつけました。

この男はなかなかの曲者で、会社を辞めてしまってから数ヵ月後してまたふらりとやってきて、無心をするのです。ある独立行政法人関連の仕事をしているので、お金が必要だというのです。
そのまま、その男性は会社にいついてしまいましたが、さらにある日、愛人に子どもができたので、堕胎するためのお金を貸して欲しいと言い出しました。人のいい私はまたしてもそこで彼にお金を貸してしまいました。

その愛人というのはホステスさんでした。彼女がいうには、彼はそのうち大きな仕事をする人だから、それまでは自分が養わなくてはならないというのです。今ならさしずめダメンズというところでしょうか。
しかし、なんだかんだと同じ人物に何度もだまされる私もかなりなお人よしです。

助けてくれる人もいれば、だます人もいて、人間とは面白いものですね。
仕事が行き詰ったときは、差し伸べて助けてくれる人が現れました。

このようにして、あれよあれよと言う間にビジネスになって行きました。
私はちょうど運転の経験もないのに車をいじっているうちに、いきなり車が走り出してしまったようで、それからは命がけの、冷や汗びっしょりの毎日をくぐりぬける事になったのです。

backtotop