正確な翻訳をするための逆翻訳の重要性
翻訳会社に依頼した文章が正確に翻訳できているかを確認する際、外国語に関する知識がない場合はどのように確認すればよいのでしょうか。これを解決する1つの方法として「逆翻訳」という作業が適しています。
そこで今回は、逆翻訳とは一体どのような作業なのか、どういった効果が期待できるのかを分かりやすく説明します。
逆翻訳とは
逆翻訳は、バックトランスレーションという呼び方もされます。翻訳の質を上げる施策の一つで、多くの翻訳会社で行われています。逆翻訳を行うメリットはもちろん、注意点も存在しますので、よく理解した上で依頼しなければなりません。
逆翻訳とはどのような作業?
逆翻訳を行う場合、まず通常のように原文から訳文へ翻訳を行います。その後、訳文を再度、原文の言語に訳してみるというプロセスになります。これは、人の手による翻訳でもAI翻訳でも同じです。
逆翻訳は難しい作業ではありませんが、逆翻訳に向いている文章と、向いていない文章がある点には注意が必要です。逆翻訳が向いていない文章では、逆翻訳を行っても効果は期待できません。詳しくは後述しますが、向き不向きを把握する必要があります。
逆翻訳に向いているのは「専門性の高い文章」
逆翻訳に向いている文章は、端的に言えば専門性の高い文章です。
専門性とは、「特定の領域に対する高度な知識や経験」といった意味です。しかし、翻訳において専門性が高い文章とは例えば日英翻訳の場合『この日本語原文にこの英語の訳語が適切である』という場合です。つまり、既に評価の定まった訳語が存在している場合を指します。
上記を踏まえると、専門用語が頻出する医療系の文書や特許関連の文書が該当します。他にも、定訳が多数含まれている文書は逆翻訳に適している可能性があります。
逆翻訳の目的
逆翻訳は、翻訳が正しく行われているかを確認する目的で行われます。
日本語から英語に翻訳したと仮定した場合、翻訳前の日本語の単語が、正しい単語にしっかりと置き換えられているかを確認するために、翻訳された英語の文章を再度日本語に戻します。戻した日本語の文章が正しければ正確に翻訳されていると確認でき、文章が破綻していたり、違和感があったりする場合は上手く翻訳できていない可能性があります。
加えて、英語などの外国語の知識がなくても翻訳の正確性を確認できる方法であるという点も大きな特徴です。一見、簡単で便利にも見える逆翻訳ですが、文書の内容によってはまったくと言っていいほど効果がありません。次の段落では、逆翻訳の注意点を解説していきます。
逆翻訳の注意点
逆翻訳はすべての文章に効果があるわけではなく、使い道は限定的です。また、文章表現そのものが正しいか否かを判断したいという場合は逆翻訳を行っても効果は期待できません。
逆翻訳は、Aという単語がBという訳語に翻訳できているかという確認はできます。特に、基本的な単語ではなく、漢字表記された法律名や病名などのような専門的な用語が、正しい訳語になっているかを確認する際に適しています。しかし、文章全体の表現力が適切かどうかといった判定はできません。
例えば、WEBサイトに掲載する文章やプレスリリースなどを日本語→英語→日本語というプロセスで逆翻訳を行ったとしても、この種の文章には元々定訳となる専門用語はありません。翻訳された表現自体は間違っていなかったとしても、英訳文そのものが英語として自然な表現になっているのかといった判断は、逆翻訳では判定がつけ難いのです。
つまり、日本語→英語→日本語のプロセスの結果として示された日本語が正確だったからといって、途中で使用した英訳文が英語として正確なのかどうかは分からないのです。
どんな文章であっても、逆翻訳すれば必ず翻訳が正しく行われたかどうかを判断できると思うのは、かえって現場に混乱を招く恐れがあります。
逆翻訳で無難な文章が出てくる訳文は、直訳調であったり、逐語訳が目立つ訳文となっていたりするリスクもあります。このように逆翻訳が意味をなさない場合があることも知っておきましょう。
逆翻訳で効果が出る文章なのか、効果が出ない文章なのかを知っておくことは、とても重要なことです。機械翻訳あるいは人手による翻訳での逆翻訳に関心をお持ちの方は、ぜひ一度株式会社十印へご相談ください。
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個人単位でAI翻訳を使う場合、または業務利用される場合、逆翻訳が効果を発揮することがあります。十印は機械翻訳および人手による翻訳に対する効果的な逆翻訳について豊富な経験を蓄積してまいりました。
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