誤訳が引き起こす危険性とは!翻訳会社に依頼するメリットとは
2020年夏にオリンピックを控え、インバウンド需要が急増しています。
インバウンドにおいて非常に大きな役割を担っているのが翻訳です。日本の魅力を海外の人々に発信したり、実際に観光客が訪日した際になるべく不便が生じないようにしたりなど、言葉は世界中の人々を繋ぐ力があります。
翻訳は非常に重要なものであるからこそ、誤訳は重大な意思の行き違いが生じる危険性があります。
今回は、誤訳が起こる理由やよくある誤訳の例、翻訳会社に依頼するメリットなどを解説していきます。
誤訳はどうして起こる?
誤訳が起こる原因としては、主に以下のようなものがあげられます。
• 文法の取り違え
• 文脈や文化背景の取り違え
ミスの度合いによっては、意味が原文の意図していたものから180度変わってしまう可能性があります。例えば医療機器や工事現場で使われる大きな機械などのマニュアルで誤訳が起こると、場合によっては人命に関わる危険すらありえるのです。
ビジネスシーンにおいても、誤訳は重大な機会損失を引き起こしかねません。
もしも契約書で誤訳が発生してしまうと、責任の所在や業務内容が不明瞭になり、取引自体に問題が生じます。言語が多少わかるから…と安易に翻訳してしまうのはトラブルの元です。
機械翻訳頼みは危険!
最近では、機械翻訳の精度も高まってきています。
「コーパス」と呼ばれる対訳データと人工知能を組み合わせることで、単純に過去のデータの内容を反映するだけではなく、その場の文脈に沿って訳し分けすることも可能になるのです。
しかし、機械翻訳一辺倒にするのはリスクもあります。翻訳品質が上がったとはいえ、未だ精度に甘い部分があるのが否定できないからです。
2019年3月には、大阪メトロのホームページが機械翻訳のみに頼ってチェックを怠ったため、駅名や路線名に大変な誤訳があったことが話題になりました。堺筋線などの「筋」が筋肉と判断されて「Sakai Muscle Line」と表記されたり、「3両目」の「両目」が人間や動物の眼と判断されて「Eyes 3」と表記されたりしていたのです。
ちょっと笑えるニュースとして取り上げられましたが、日本を訪れる外国人観光客にとっては笑い事ではありません。
短期間で大幅に進化してきているとはいえ、機械翻訳は発展途上の状態です。自動翻訳ソフトなどを信頼しきるのはリスクが高いといえるでしょう。
よくある誤訳の例
ここでは、誤訳の具体例について、掘り下げていきます。
主語や掛かりの取り違いによって起こる誤訳
英語では、カンマの有無が大きな意味を与えます。カンマをないがしろに翻訳すると、まったく意味が違う翻訳になってしまいます。
例えば、以下のような英文和訳を考えてみましょう。
Students, who do not study hard, should not criticize about their teachers.
これをどう訳すでしょうか?
この文では主語が「Students」のみで、主語の説明が「who do not study hard」です。つまり、カンマが付いた状態だと「(世の中のすべての)生徒は真面目に勉強しない」という意味になっています。
「真面目に勉強しない生徒は、先生のことを批判するべきではない」という文章にしたい場合は、「Students」のあとのカンマを取らなくてはなりません。
Students who do not study hard should not criticize about their teachers.
こうすることで、主語が「Students who do not study hard」に変化し、「真面目に勉強しない生徒」という意味になります。
Google翻訳ではこうした文章をカンマの有無に関わらず同じような訳文を示してくれますが、これは日本人的な感覚にあわせるために機械が進化した賜物といえます。
しかし一方で英語圏の方にとってはカンマの有無で意味合いが変わってきてしまいますので、英語の知識が十分でないとこうした誤った英文を相手に送ってしまい、大きな誤解を生む危険があります。
文化背景の取り違えによって起こる誤訳
文化的な背景の違いによって、意味の認識に齟齬が生じる可能性があります。これは、場合によっては国家間に重大な摩擦を引き起こしかねません。
鳥飼玖美子著の『歴史を変えた誤訳』には、世界情勢を大きく変えた誤訳の例が多く収録されており、「違う訳し方をしていれば、広島と長崎に原爆は落ちなかったかもしれない」というショッキングな例も紹介されています。
日本の戦争終結条件をまとめた「ポツダム宣言」に対して、鈴木貫太郎首相が「黙殺する」と発言したのが「ignore」と翻訳され、連合国側に日本がポツダム宣言の受諾を「拒否」する、という意味で捉えられてしまったというのです。
原爆投下の要因は単一的なものではないかもしれませんが、これが要因の一つとなってしまった可能性は否めないというのが鳥飼氏の見解です。
言葉の使い方を誤ると、取り返しのつかない事態を引き起こしてしまう可能性があります。
訳語は慎重に選ぶ必要があるのです。
プロに翻訳してもらうメリット
文章の意図や目的を正しく把握することが、翻訳をするにあたってもっとも重要です。背景情報抜きに、字面だけを追って翻訳することは得策といえません。
ターゲット言語が話せれば翻訳など簡単にできると誤解されがちですが、オーラルコミュニケーション能力と、翻訳能力は似て非なるものです。
知識豊富な翻訳者が翻訳してくれるから安心
専門性が高い文書の場合は特に、用語や仕組みを理解していないと正しく翻訳することができません。その分野に携わる人が読んで理解できるように翻訳することが重要です。
英語の知識があるだけでは、アウトプットの質に問題が出てきます。実績ある翻訳会社に依頼すれば、その分野に長けた翻訳者をアサインしてくれるため安心です。
読者にとって伝わりやすい文章にしてくれる
先ほども述べたように、翻訳は原文が書かれた意図や目的を正確に把握する必要がある仕事です。原文を正確に翻訳しても、直訳すぎて意味がまったく通らないケースも珍しくありません。
翻訳技術を身につけたプロの翻訳家に依頼すれば、たとえば必要に応じて順序を置き換えたり、原文で1文になっていたセンテンスを訳文では2つに分けてみたりなど、エンドユーザーを考慮した翻訳をしてくれます。
読み手に伝わりやすい効果的な翻訳をしたいと考えている方は、専門の知識を有する翻訳者に依頼することをおすすめします。
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翻訳には、原文が意図していることを正確に汲み取り、それを訳文に反映する能力が必要です。
ちょっとした意味や掛かりの取り違えが、大きな問題を引き起こしてしまいます。
近年は機械翻訳の質が大幅に向上しており、利用者数も増えてきました。しかし、いくら機械翻訳の進化が目覚しいとはいえ、未だ発展途上のサービスであるため、機械翻訳の品質を信頼しきってしまうのは危険です。文脈の意図にまったく沿わない翻訳になってしまうリスクがあります。
原文の意図を正確に読み取り、読み手に対して効果的な翻訳文を作成したいとお考えの場合は、翻訳会社に依頼することをぜひご検討ください。