2026.01.29

マンガ翻訳は文化の翻訳:トランスクリエーションで可能性を広げる

日本のマンガは世界的に高い人気を誇っています。さまざまな言語に訳されていますが、実は同じように翻訳されているとは限りません。それは、マンガの翻訳が必ずしも文字通りの翻訳になっておらず、現地向けにローカライズされていることが多いからです。しかも、ローカライズは言語や地域によっても異なるため、翻訳される言語によって翻訳の内容が変わっている場合もあります。

本稿では、マンガを翻訳する際、どのように文化も同時に表現するのかを見ていきましょう。

誤訳?ローカリゼーションは翻訳と違う

マンガやアニメを翻訳する際は、ローカリゼーションやトランスクリエーションが使われます。特に日本独自の概念や習慣で、他の地域に存在しない場合、翻訳のしようがない言葉もあります。そのような場合、現地の近いものに置き換えられるのが一般的です。例えば「忍者」など、現地の言葉として認められている日本語がそのまま使われる場合もありますが、「鬼」は、鬼滅の刃では英語で「demon」と訳されています。しかし、別の作品では、状況に応じて「devil」(悪魔)、「goblin」(ゴブリン)、「ogre」(オーガ)など、異なる表現が使われるケースもあります。

このように英語でも他の言語でも、状況次第では異なる表現が使われるので、何が正しくて何が間違っているとは一概には言えません。マンガの世界観に合った、その場に最適な翻訳を選ぶのがローカリゼーションだからです。

言語によってこれだけ変わる翻訳

マンガやアニメの英語などの翻訳で「あれ、間違っている」と思った経験があるかもしれません。

例えば、『ナルト』の『多重影分身の術』のように、言語によって訳し方が大きく変わる術語があります。英語では原語に近い表記が使われることもあれば、各言語で呪文感を出すために語形を変えることもあります。英語ではMulti Shadow Clone Jutsuと、日本語に忠実です。ドイツ語では『Jutsu der Schatten Doppelgänger』(ユツ・デア・シャッテン・ドッペルゲンガー)と表記され、『影のドッペルゲンガーの術』という意味になります。ここで『Jutsu』は日本語の『術』をそのまま用いることで、日本らしさを意識しています。

一方、フランス語では、multi clonage(マルチ・クロナージュ)となり、「影」と「術」といった日本語の要素は訳出されていません。日本の武術が盛んなフランスなので「術」という言葉を翻訳に使いそうなのに意外ですが、「クロナージュ」の母音の「a」を伸ばして、コンパクトながら呪文らしさを出しています。

このように、同じ作品の翻訳でも、言語によって異なる表現が使われており、世界観の伝え方はさまざまです。いずれも翻訳者のセンスによって翻訳が変わるため、全て訳出されていないからといって誤訳にはなりません。

トランスクリエーションで翻訳の可能性を広げる

マンガを通じて日本文化に興味を持つ読者は多く、そこから日本の食文化や習慣へと興味の対象が広がるファン層は多くいます。

マンガの翻訳では、読者に自然に届く表現を意識し、時には現地向けにローカライズ、時には日本語を残して日本らしさを演出するなど、さまざまな工夫を通じて作品の世界観を尊重しています。翻訳色を控えつつトランスクリエーションで表現できるよう、翻訳者は現地の表現を上手に取り入れ、時には思い切った表現を工夫するのです。

直訳では誤りと見なされる場合もありますが、日本文化特有の内容を別の表現で伝え、理解を深めるトランスクリエーションは重要な役割を果たします。トランスクリエーションで翻訳の方法を変えると、表現の幅が広がり、メッセージがより届きやすくなるのです。

十印のマンガ翻訳とトランスクリエーション

十印では、希少言語も含む幅広い言語での高品質なマンガ翻訳サービスを提供しています。オノマトペを含めた、手間のかかる写植など、マンガの翻訳に特化したサービスだけでなく、エンタメのローカリゼーションやトランスクリエーションサービスも提供している十印は、クオリティの高いマンガ翻訳による翻訳、多言語化実現のお手伝いをします。

十印の翻訳サービスは、対象言語の背景を考慮しつつマンガの世界観を伝え、ターゲット顧客層向けに特化した翻訳で読者の心を掴み、マンガのマーケティング効果を高めます。マンガのグローバル市場での成功には、ぜひ十印の翻訳サービスをご検討ください。

まとめ

十印では、半世紀にわたる翻訳に関する経験とノウハウで、作品の特徴やイメージに合わせ、言葉や文化の壁を乗り越える翻訳を行っています。地域向け最適化であるローカリゼーション、作品の世界観を伝えるトランスクリエーションなど、幅広い翻訳技術で、世界を舞台にしたマンガビジネスでの成功をお手伝いします。。

ターゲット顧客や対象エリア・作品に合わせた翻訳はもちろん、読みやすさを追求した現地向け最適化であるローカリゼーション、メッセージの伝わるトランスクリエーション等、顧客満足度を高める翻訳は、技術力のある十印にお任せください。

高品質なマンガ翻訳をお考えなら、どうぞお気軽に十印までお問い合わせください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

#エンタメ翻訳
#トランスクリエーション

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