2020.10.26

翻訳者登録制度の内容とメリット・デメリット

翻訳関連の制度の1つに「翻訳者登録制度」があります。しかし、この制度についてよく知らないという方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、翻訳者登録制度の概要や登録要件、メリット・デメリットなどについてご紹介します。

翻訳者登録制度とは

翻訳者登録制度は、ISO 17100国際規格に基づいて翻訳者の専門的力量を第三者機関が評価し、登録する制度です。創設および運営は、日本翻訳連盟(JTF)や特定非営利活動法人日本知的財産翻訳協会(NIPTA)をはじめとした業界団体が行っています。言語は日英および英日で、専門分野は金融・経済・法務、医学・医薬、工業・科学技術、特許・知的財産の4つに分かれています。

翻訳者登録制度の登録要件

翻訳者登録制度の資格区分には、「Advanced Professional Translator (APT)」、「Professional Translator (PT)」、「Paraprofessional Translator (PPT)」の3つがあります。そして、それぞれの区分において登録要件が異なります。

■Advanced Professional Translator (APT) への登録要件
ほんやく検定(JTF)または知的財産翻訳検定(NIPTA/JTF)の1級合格証の提出、および大学の翻訳学科等の卒業資格/大学の卒業資格かつ2年以上の翻訳経験/5年以上の翻訳経験が必要となります。

■Professional Translator (PT) への登録要件
ほんやく検定(JTF)または知的財産翻訳検定(NIPTA/JTF)の2級合格証の提出、および大学の翻訳学科等の卒業資格/大学の卒業資格かつ2年以上の翻訳経験/5年以上の翻訳経験が必要となります。

■Paraprofessional Translator (PPT) への登録要件
ほんやく検定(JTF)または知的財産翻訳検定(NIPTA/JTF)の1級または2級合格証の提出、あるいは大学の翻訳学科等の卒業資格/大学の卒業資格かつ2年以上の翻訳経験/5年以上の翻訳経験が必要となります。

資格の更新および登録料金

新規で登録する場合、申請料は5,000円、登録料はAPTで25,000円、PTで20,000円、PPTで15,000円となります。なお資格の有効期限は2年であり、資格を更新するためには翻訳実績またはCPD(専門能力開発)実績の提出が必要になります。更新する際の登録料は、新規の登録料と同様です。

翻訳者登録制度のメリット

翻訳者登録制度には、多くのメリットがあります。ここでは、それらのメリットを1つ1つご紹介します。

■翻訳の実力を証明できる
翻訳者自身にとってのメリットとしては、翻訳者登録制度を活用することによって翻訳の実力を証明できることが挙げられます。フリーランスの翻訳者は、仕事を受注するために常に翻訳の実力をアピールしなければいけません。その際に、翻訳者登録制度はとても役に立ちます。翻訳者としてキャリアアップしていく一助になるのではないでしょうか。

■トライアルの負担を軽減できる
翻訳会社がフリーランスの翻訳者を雇うときには、トライアルを実施するのが一般的です。しかし、トライアルを実施して1人1人の翻訳者を評価するのは時間と手間がかかり、それに伴うコストも無視できません。しかし、翻訳者登録制度に登録している翻訳者に対してトライアルを免除すれば、翻訳会社側の負担は大きく減ります。急ぎの場合にトライアルなしですぐに翻訳者を雇えるのも、大きなメリットだといえるでしょう。

■翻訳の質の判断材料になる
翻訳者登録制度は、クライアントにとっても大きなメリットがあります。翻訳会社と一口に言っても翻訳の質は大きく異なるため、どの翻訳会社に依頼すべきかで頭を悩ませるクライアントは少なくありません。その点、翻訳会社が翻訳者登録制度を利用していれば、翻訳の質に関して一定の判断材料を得られます。安心して翻訳を依頼しやすいといえるのではないでしょうか。

翻訳者登録制度のデメリット

翻訳者登録制度には、翻訳者や翻訳会社はもちろんのこと、クライアントにとってもメリットがあります。その一方で、いくつかのデメリットも指摘されています。ここでは、翻訳者登録制度のデメリットについてみていきましょう。

■実際の翻訳の実力と一致しないことがある
翻訳者登録制度に登録するためには一定の要件を満たす必要があり、制度に登録している翻訳者は高い翻訳スキルを持っているといえます。とはいえ、翻訳は案件によって求められる能力等が異なります。また、どの翻訳者にも得意分野と不得意分野はあります。トライアルを実施せずに翻訳者を雇うことで、求める質の翻訳に仕上がらないリスクはあるといえるでしょう。ただし、この点は翻訳会社を通して御依頼頂くことにより、適任の翻訳者をマッチングさせることが可能となります。

■2年ごとに更新が必要
翻訳者登録制度へ一度登録しても、2年経過すると期限が切れてしまいます。そのため、制度を利用し続けたいのであれば2年ごとに更新を行わなければいけません。その上更新のためには翻訳実績やCOD実績の提出が必要であり、さらに更新料もかかります。それゆえに、更新を行っている翻訳者はスキルを維持している翻訳者として評価をされています。

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