これからのアニメ翻訳は原作から遠くなる?

日本のアニメはボーダレスとなり、いまや世界で人気を博しています。世界中の視聴者が日本のアニメを楽しむためには、翻訳が使われています。しかし、言葉の壁を越えて日本の文化的背景や習慣を別の言語に訳すには、単純な文字の置き換えではなく、メッセージを伝える工夫が必要です。世界に広がる視聴者層が楽しめる作品にするためには、翻訳以外の工夫も重要ですが、原作からかけ離れた翻訳になってしまっては本末転倒です。
本稿では、アニメ翻訳で欠かせない現地向け最適化であるローカリゼーションと、視聴者を満足させる翻訳とは何かについて、解説していきます。
アニメのローカリゼーション(ローカライズ)とは?
アニメをはじめとする翻訳では、翻訳言語の組み合わせによっては情報が不足していたり、内容がわかりにくくなったりする可能性があります。そのため、バックグラウンドの異なる視聴者が理解できるように工夫する、「ローカリゼーション」が必要になってきます。
ローカライズとも呼ばれるローカリゼーションは、現地向けの最適化です。文化・風習の異なる地域の視聴者でも作品を深く理解し、作品の世界観に浸り、オリジナル言語で見ているかのように楽しめる作品とするために欠かせません。元々別の言語であったアニメを違和感なく視聴できるのは、ローカリゼーションが成功しているからこそです。
アニメの翻訳と視聴者の傾向
アニメの翻訳には、吹き替えと字幕の2種類があります。ライトな層からは吹き替えが好まれますが、ファン層は日本語のオリジナル版に字幕がついているほうを好みます。これは、より早く作品を見たいと思う期待と、よりオリジナルに近い形で見たいと思う作品へのリスペクトからだと考えられます。もちろん、対象地域や対象視聴者によって差異はありますが、言語に関わらずその傾向が認められます。
ローカリゼーションを行うときは、キャラクターの口癖や作品独自の表現など、できるだけオリジナル作品に近づけるよう工夫をしなければなりません。視聴者の嗜好の傾向に合わせていずれかを選び、翻訳言語で自然な表現を使うことが大切です。
アニメのローカリゼーションは誤訳なのか?
ローカリゼーションは、現地向けに最適化するために、元の作品に手を加えた状態になります。理想的なローカリゼーションは正確な翻訳であり、なおかつエンターテインメントとして楽しめることが求められます。とはいえ、ローカリゼーションでも翻訳でも、やはり元の言語に忠実であるかどうかは重要です。翻訳者の勝手な判断で内容を変えるのは避けなければなりません。
もちろん、宗教的・文化的な理由で、一定の表現が使えない場合は仕方がありません。しかし残念ながら、翻訳家が勝手な判断で実際の内容と異なる翻訳をしてしまっている例も見受けられます。それはもうローカリゼーションではなく誤訳に当たります。いかにローカリゼーションが必要といっても、内容をゆがめてしまい、元の作品と異なるメッセージを送るのは、本来の意味でのローカリゼーションとはいえないのです。
アニメ翻訳は字幕か吹き替えか?視聴者が望むのは?
アニメ翻訳の吹き替えでは、セリフの翻訳以外にも、リップシンクと呼ばれる口の動きに合わせる表現や、セリフの長さなどを考慮する必要があります。しかし、言語や作品によっては、オリジナルではセリフがなくても、口元が見えていないときまでセリフを入れてしまうケースもあるのです。そうなると、元々は沈黙のシーンであるにもかかわらず会話の続くシーンとなり、イメージがガラッと変わってしまうシチュエーションもあります。
一方で字幕では、オリジナル音声が聞こえるため、セリフのないシーンは尊重されます。
また、声優の声からも作品の雰囲気が伝わりやすいため、より世界観を享受しやすいともいえるでしょう。このような理由から、熱狂的なファンは、字幕を好む傾向があるのです。
アニメ翻訳は原作通りなのか?
アニメ翻訳でファン層が望むのは、よりオリジナル版に近いものであると考えられています。しかし、実際の翻訳は必ずしもそうとは限りません。近年は、アニメをはじめとする翻訳全体にスピードを求める傾向が強くなっており、精度よりもスピードが重視されるケースもあります。
スピードを優先する流れで、翻訳の質が落ち、必要な技術を持ち合わせていない翻訳者による翻訳で、アニメの世界観が十分に表現されないリスクもあります。
原作から遠くなるおそれのある翻訳では、ファン層の作品の世界観を大事にしたいという希望はかなえられません。そのため、視聴者を満足させられる翻訳のためには、ローカリゼーションを含め、品質の保証のできるアニメ翻訳に特化したサービスの利用が望ましいといえるでしょう。
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まとめ
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▶著者紹介
株式会社十印 マーケティング部
石川弘美
1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。


