2019.10.28

機械翻訳と自動翻訳に違いはある?使い分けはどうすればよい?

Google翻訳をはじめとする機械翻訳がよく使われるようになり、「機械翻訳」や「自動翻訳」という言葉もよく聞かれるようになりました。

どちらも、「機械によって自動的に行われる翻訳」というイメージがあるかもしれませんが、実際には少々意味が異なります。また、会社によって異なる場合があります。

この記事では、一般的に使われている「機械翻訳」と「自動翻訳」の違いや、それぞれを利用するメリットやデメリットについて詳しく解説していきます。

機械翻訳と自動翻訳の違い

機械翻訳は、「コンピュータによって行われる自動翻訳」のことです。自動翻訳を行う際に、機械翻訳のプロセスを利用するといってもよいでしょう。両者の違いについて、掘り下げて解説します。

「自動翻訳」とは何か
自動翻訳とは、主に音声翻訳(音声自動翻訳)を指す場合に使われます。音声をその場で翻訳し、音声を出力するシステムそのものを指しています。双方向性があり、リアルタイムなコミュニケーションを必要とする場面で利用されます。

日本国内においても、2020年の東京オリンピック開催に向けてさまざまな取り組みが行われており、電車の駅など公共交通機関に小型の音声自動翻訳機の導入が進められています。他にも、スマートフォンやタブレットなどに向かって話した内容を翻訳してくれる自動翻訳装置も身近にあります。

訪日外国人向けに、館内放送や公共交通機関で多言語の標識やアナウンスも重要な役割を持っていますが、これらはあくまで単一方向のメッセージであるため、リアルタイムな対応ができません。

自動翻訳の技術があれば、使用する言語が違う人同士が、さまざまなシチュエーションで双方向のコミュニケーションをすることが可能なのです。

「機械翻訳」とは何か
機械翻訳は自動翻訳において、コンピュータが行う翻訳作業を指しています。

自動翻訳する際には、まず音声を文字に変換する「音声認識」を行います。そして、文字に変換された情報を翻訳するのが、機械翻訳です。機械翻訳された文字を音声に合成して出力することで、自動翻訳が完結します。

つまり、自動翻訳では必ずコンピュータによる機械翻訳の作業が行われるということです。
Google翻訳の「Google NMT」サービスの開始後、「ニューラル機械翻訳(Neural Machine Translation/NMT)」という言葉がよく使われるようになりました。

neuralとは「神経の」という意味があり、人間の脳神経細胞のようなネットワーク構造をした機械翻訳です。膨大な対訳データを参照し、細かい部分にも反映しているので、性能がいい点が特徴です。さらに、人工知能を用いて訳文を集め、より自然界に近い翻訳の学習ができます。

一方で、ニューラル機械翻訳には、原文に存在しない内容が訳文で現れたり、翻訳が途中で急に抜けたり、所々に誤訳が発生することがあるという側面もあります。

ニューラル機械翻訳は精度が上がってきてはいるものの、人間によるチェックは欠かせません。

機械翻訳を利用するメリットとは?

機械翻訳には多くのメリットがありますが、具体的にはどのようなものなのかを見ていきましょう。

・スピーディーにコストを抑えて翻訳が可能
機械翻訳の最大のメリットとして、よりスピーディーに、コストを抑えた翻訳が可能になったという点が挙げられます。

現代はスマートフォンやタブレットの普及により、機械翻訳を使い、手軽に翻訳することが可能になりました。機械翻訳を使えば、翻訳会社に依頼しなくてもその場でスピーディーに翻訳してくれます。

翻訳速度が速い翻訳家に依頼しても、英文の日本語訳の場合、1日1500〜2000語が目安といわれています。しかし、人間が8時間かけて翻訳する作業を、Google翻訳は数十秒足らずで終了してしまうのです。

さらに、翻訳家に翻訳サービスを依頼すると、一文字5円の場合、2000文字の英文の翻訳に10,000円かかるのに対し、Google翻訳なら、100を超える言語を無料で翻訳できるのです。

・翻訳結果を文書として残せる
ビジネスの世界では、文書の配布や、保管、管理を行うために記録として残す必要があり、正確さも求められます。こうした場合、文字から文字に翻訳できる機械翻訳が適しています。

しかし、近年機械翻訳の精度が急速にアップしているとはいえ、人間の翻訳者による最終チェックは欠かせません。

ポストエディットという言葉がありますが、これは機械翻訳を利用した後に行われる人間の翻訳者による修正作業のことです。

機械翻訳を使うことで、素早く翻訳し結果を文書として残せますが、正確さを求めるビジネスの世界では、人間による翻訳の修正の手間が必要とされています。

機械翻訳にはデメリットもある

機械翻訳には、メリットもありますがデメリットも存在しますので、正しく認識して使う必要があります。

・必ずしも正確な翻訳結果になるとは限らない
機械翻訳による翻訳結果が必ずしも正確とは限りません。機械による翻訳である以上、翻訳のミスやニュアンスの違いは必ず生じます。

そのため、機械翻訳の結果を鵜呑みにすることなく、人間の目による結果のチェックをすることが重要です。

・心理を読んだ翻訳は人間しかできない
機械翻訳はどんなに精度が高くても、シンプルに翻訳したい場合にしか向きません。

一方で、人間の翻訳者の場合は、文章の背景を考えて読者にわかりやすい訳を考えることができます。

例えば、文字数に合わせたり、ひらがなと漢字のバランスを考えたりするなど文字の配列にも柔軟に対応できるのが人間による翻訳のメリットです。もちろん、人間の心理を読んでニュアンスを微妙に変えた翻訳なども可能です。

ビジネスに適切な翻訳をしたい、人々の心を引くような表現にしたいなどの場合には、人間による翻訳作業の方が良いでしょう。

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機械翻訳と自動翻訳の違いや、機械翻訳を用いるメリット・デメリットについてご説明しました。

近年の機械翻訳は急速に精度が高まっており、速くて手軽なのがメリットです。

しかし、どんなにレベルの高い機械翻訳を導入しても、不自然な文章になったり訳が急に抜けたりすることがあります。最終的には、人の目によるチェックを入れる必要があるでしょう。

しかし、人間が修正した文章を覚えさせ、翻訳の精度あげることができる機械翻訳もあります。弊社が提供しているAI翻訳サービス「T-tact AN-ZIN」もその一つです。

翻訳からチェックまで、株式会社十印では一貫して行っております。翻訳のご用命がございましたらお気軽にご相談ください。

※十印では、この記事で「機械翻訳」と書かれているものを「AI翻訳」と表現しています。

「T-tact AN-ZIN」の詳細はこちら

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