2019.12.02

翻訳の国際規格ISO 17100、ISO 18587とは?機械翻訳において取得するメリットを解説

ISOとは本部をジュネーブに置く「国際標準化機構」のことです。工業製品の設計や製造など、さまざまな分野の国際規格が定められています。

翻訳の分野でも近年、質を一定にするためのISO規格が制定されました。

ここでは、翻訳の国際規格である、ISO 17100とISO 18587について、詳しくご紹介します。

翻訳の国際規格ISO 17100とは?

翻訳の国際規格ISO 17100とはどのような規格なのかをご説明します。

ISO 171000とは何か?
翻訳需要が高いヨーロッパで翻訳の質を一定なものにしたいという需要が高まり、2006年に欧州統一規格であるEN15038が制定されました。これをもとに、2015年に国際規格のISO 17100が発行されたのです。

ISO 17100は、翻訳プロセスのあらゆる側面への要求事項を規定した国際規格です。規定する範囲は幅広く、翻訳を手掛ける業者のみならず、翻訳者、翻訳のチェッカー、クライアント、その他の関係者に深く関わります。

取得するための適性として、「翻訳者が資格や実務経験を持つこと」「翻訳プロセスが明確であること」「翻訳会社の管理体制が整っていること」などが定められています。

ISO 17100を取得するメリットとは?
ISO 17100を取得することで、国際規格に基づく翻訳サービスを提供できることの証明になるというメリットがあります。

取得するためには翻訳プロセスの整備や翻訳者の資格が必要ですので、ISO 17100を取得すれば翻訳品質を一定に保つための環境が整うでしょう。

ISO 17100を取得するための評価基準とは
本規格を取得するための評価基準には、以下のような基準が整っていることが求められます。

・翻訳プロセス
翻訳作業のプロセスが、「見積もり→クライアントとの合意→プロジェクトの準備→翻訳→チェック→検品→フィードバック→終結管理」などように明確化できていることが規定されています。

・翻訳の資格と実務経験
ISO 17100は、翻訳者をどう社会に認知させるかという視点をベースに出来ているので、翻訳者の適性もしっかりと定義づけされています。

1)翻訳学位の保持
2)翻訳以外の学位プラス2年の実務経験
3)5年の実務経験
4)政府認定の資格保持

上記4つのうちいずれかを満たしていることが必要です。

・管理プロセスが明確な翻訳会社であること
時間管理や人材管理、資源管理、コスト管理、顧客管理、コンプライアンス管理などが明確になっている組織体であることが求められます。

ポストエディットの国際規格ISO 18587とは?

機械翻訳を導入する場合、機械から出力した翻訳結果を人間の目でチェックして手直しするポストエディットが必須です。

ここでは、ポストエディットの規格であるISO 18587についてご説明します。

ISO 18587とは何か?
機械翻訳の需要が高まるにつれて、ポストエディットも重要視されるようになりました。そして、翻訳の国際規格であるISO 17100が成立した後、2017年にポストエディットに関する国際規格を定めたISO 18587が発行されました。

ISO 18587では、ポストエディットにおける次のような事柄が規定されています。

・目的
・作業の概要
・作業プロセス
・修正レベルと修正観点
・ポストエディターが持つべき資格
・ポストエディターの教育の観点

ISO 18587を取得するメリットとは?
ISO 18587を取得することで、機械翻訳後のポストエディットの作業品質が保たれていることを保証できるメリットがあります。

機械翻訳を用いる翻訳業者による翻訳の質は、ポストエディット作業の質がダイレクトに関係します。そこで、本規格を取得すれば、ポストエディットの目的や作業プロセス、ポストエディターの質などが一定基準を満たすことを証明できます。

ISO 18587を取得するための評価基準とは?
ISO 18587を取得するためには、ポストエディットに関するガイドラインが明確に定められ、そのガイドラインにのっとってポストエディット作業が進められていることを証明できなければなりません。

ガイドラインとは、上記でもご説明したとおり、ポストエディットの目的や作業プロセス、修正レベルと修正観点、そして、ポストエディターが持つ資格などに関するものです。

ポストエディットにまつわるさまざまな観点でガイドラインが明確に定められており、そのガイドラインに沿って作業が行われる環境が整っていなければ、ISO 18587を取得できません。

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ここでは、翻訳に関する国際規格のISO 17100と、ポストエディットに関する国際規格のISO 18587についてご説明してきました。どちらも、翻訳を行う業者にとって、翻訳の質を証明するために必要な国際規格です。

株式会社十印では、「金融・経済・法務」「医学・医薬」「情報技術・通信・工業」の分野でISO 17100を取得しています。確かな翻訳技術と国際規格に裏付けられた翻訳品質を持ち、お客様の翻訳業務をサポートいたします。翻訳業務でお困りの際は、ぜひ十印にご相談ください。

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