スタイルガイドとは?翻訳作業で重要なスタイルガイドについて解説
翻訳作業を行うにあたり、翻訳の質やスピードを高めるために重要な意味を持つ、「スタイルガイド」をご存じでしょうか?翻訳作業の決まり事を細かく取り決めたスタイルガイドがあるのとないのでは、翻訳品質に大きな影響を与えます。さらに、スタイルガイドがあることで訳文の手直しが減るため、翻訳スピードも変わってきます。
ここでは、翻訳作業になくてはならない「スタイルガイド」について、具体例なども挙げながら解説していきます。
スタイルガイドは翻訳作業に欠かせないもの
翻訳作業において、「スタイルガイド」は欠かせないものです。一人の翻訳者が一つの文章を訳すだけなら、スタイルガイドは必要ないかもしれません。
しかし、多くの翻訳者が分担して大量の翻訳を行う場合、それぞれの翻訳者が自由な表現やスタイルで訳をすると、どうなるでしょうか?訳文の文体や用語、文法などがバラバラになってしまいます。翻訳の質の低下を招き、大幅な修正が必要になり、翻訳スピードが大きく落ちます。
そこで、役立つのが日本語表記ガイドライン、いわゆる「スタイルガイド」です。日本語表記として統一したものを定めることにより、翻訳時のばらつきを防止する役割があります。代表的なものとしては「表記ゆれ」が挙げられます。表記ゆれとは、同音・同意味の用語で別々の表記をしてしまうことです。例えば「他/ほか」「バイオリン/ヴァイオリン」などです。
スタイルガイドでは、文体、用語、文字表記など、翻訳するうえで決めておくべきルールが定められています。また、翻訳を依頼するクライアントの要望やそれぞれの業界独自のルールなども、スタイルガイドに活かすことができます。このスタイルガイドがあることで、翻訳の言い回しや表記がそろい、手直しが最小限になりますから、翻訳スピードも上がります。
スタイルガイドにはどのようなものがあるのか
スタイルガイドでは、具体的にどのようなルールが取り決められているのかを見ていきましょう。さまざまな業界の翻訳であっても訳文の基本的なルールは一緒です。
文体のルール
訳をする際に、文体は必ず統一しておかなければなりません。日本語の訳文の場合「です・ます」調にするのか、「だ・である」調にするのか、日本語以外の訳文でも文語なのか口語なのかは、最初に決めておくべきことです。
固めの文章にするのか、やわらかめのニュアンスにするのかという、文章のニュアンスも統一が必要です。ビジネス文書なら硬めですし、読み物などはやわらかめのニュアンスが求められるケースもあります。
他にも、体言止めを許容するかどうか、箇条書きを使うべきかなど、さまざまな観点から文体をあらかじめ決めておきます。
用語のルール
訳文によくあらわれる用語のルールも、あらかじめスタイルガイドで統一しておく必要があります。
同じ意味の複数の用語がある場合、一つに決めておかないと表記ゆれが生じます。日本語の場合は、「申し込み」と「申込み」などの送り仮名の違いもありますので、統一しておく必要があります。
統一しておかないと全体を通して使う用語がバラバラになり、読みづらく意味が通らなくなることもあります。
文字表記のルール
文字表記のルールも決めておかなければなりません。数字やアルファベット表記は半角なのか全角なのか、記号を使うべきなのか使わない方がよいのか、感嘆符や疑問符は使用禁止なのか許容するのかなどです。
また、見出しの冒頭につける記号や段落番号など、見出しのスタイルも決めておく必要があります。
クライアント独自のルール
上記のような、翻訳していくうえで必ず必要になる文体や用語、文字表記のルールとは別に、クライアントによる独自ルールを定めるケースもあります。クライアントによっては業界用語が多いこともあり、どの用語を使うのか、どのような表記で使うのかなどのルールを取り決める必要があります。
また、依頼された訳文の内容によっては、かなりカジュアルな文体に寄せてほしい、逆にビジネス文書なので硬い文体にしてほしいなど、クライアント独自の要望が入る場合もあります。他にも、クライアントが使っている文書に独自のスタイルがある場合や、独自の記号を表記に用いるなどの場合もあります。
そのため、スタイルガイドを取り決める際には、クライアントとの間で意思疎通がしっかりできている必要があります。
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翻訳作業におけるスタイルガイドの重要性についてご理解いただけたでしょうか?あらかじめスタイルガイドをお客様と確認しておくことで、ご要望通りのイメージの訳文を作り出すことが可能です。
十印では、翻訳作業に入る前に、お客様とスタイルガイドについて細かく取り決めし、お客様がイメージする品質の高い翻訳をスピーディーに完成させます。翻訳のご要望があれば、十印にご相談ください。豊富な実績とノウハウでご期待におこたえします。