2020.03.02

どちらが適切?機械翻訳と翻訳者の使い分け方

翻訳の方法としては、機械翻訳を利用する方法とプロの翻訳者に依頼する方法の2種類があります。この両者にはそれぞれメリットとデメリットがあるため、どちらが良いとは一概には言えません。そのため、状況によってどちらが最適かを判断する必要があります。ここでは、機械翻訳と翻訳者の強み、および使い分け方をご紹介します。

機械翻訳の強み

Google翻訳をはじめとした機械翻訳をよく利用している人は多いのではないでしょうか。ここではまず、機械翻訳の強みをご紹介します。

安い
機械翻訳の強みとしてまず挙げられるのが、価格の安さです。

英文和訳をプロの翻訳者に依頼した場合、原文1ワードあたりの料金相場は7円~15円ほどだといわれています。A4用紙1枚に入るワード数は約500ワードで、これを訳すだけでも安くて3,500円ほどするため、コストがかさんでしまう場合もあるといえるでしょう。それに比べて機械翻訳は非常に安く、Google翻訳などであれば無料で利用することができます。

機械翻訳を上手に利用することで、コスト削減につながります。

対応言語が多い
機械翻訳は対応言語が多く、Google翻訳の対応言語は100を超えています。日本には多くの翻訳サービスがありますが、それでも100を超える言語に対応しているサービスは存在しないといえます。

英語をはじめとしたメジャー言語であれば翻訳サービスが見つからずに悩むことはありませんが、マイナー言語の翻訳が必要な場合には機械翻訳は非常に重宝するといえるでしょう。

スピードが速い
翻訳者が英語の文章を日本語にする場合、1日で翻訳可能な語数はおよそ1500~2000ワードだといわれています。そのため、それなりに長さのある文書の翻訳は余裕を持って依頼しなければなりません。その点、機械翻訳であればどれだけの量であっても一瞬で翻訳作業が完了します。

急ぎの場合でもすぐに訳文が出来上がるので、焦る必要がありません。

場合によっては質の高い翻訳が可能
機械翻訳のデメリットとしてよく挙げられるのは、人間の翻訳者の翻訳に比べて質が低いということです。これは間違いではありませんが、言語や翻訳対象によっては質の高い翻訳も可能です。

例えば、機械翻訳を用いたフランス語から英語への翻訳において、Wikipediaや新聞の翻訳はすでに人間レベルだとされています。これは、11世紀にイギリスがフランスに支配されたため、英語とフランス語はかなり似た言語になったためだと考えられます。

機械翻訳を使うか翻訳者に依頼するかで迷っている場合には、まずは翻訳したい文書が機械翻訳に向いているかを知る必要があるといえるでしょう。

翻訳者の強み

機械翻訳の精度が向上したといわれる昨今でも、翻訳者の需要は多くあります。ここでは、翻訳者ならではの強みをみていきましょう。

背景を考えられる
文章の中には、背景を知ることで初めて意味が分かるものも多々あります。

そのような文章は、機械翻訳でただ直訳しただけでは読者にまったく伝わらない文章になってしまいます。しかし、プロの翻訳者は翻訳対象の文書に関連した背景を仕入れたうえで翻訳を行います。翻訳が難しい専門文書の場合でも、業界特有の語彙などを学んでいるため適切に訳すことができます。

とくに複雑な文書の翻訳の場合には、背景を考えられるかどうかが大きな差になるといえるでしょう。

ダジャレなども翻訳できる
日本語のダジャレなどは、多くの場合は直訳しても何が面白いのか伝わりません。

例えば有名なダジャレの「布団が吹っ飛んだ」をGoogle翻訳で訳すと、「Futon blew away」と訳されます。これでは当然意味が分かりませんが、人間の翻訳者であれば英語のジョクなどに置き換えて訳すことで、文章の自然な流れを途切れさせないようにすることが出来ます。

直訳できないパターンに対処できるのは、やはり人間の翻訳者なのではないでしょうか。

読み手に合わせて翻訳できる
機械翻訳を利用して出力される訳文は、どこか固さがあります。その文体が適切な文書であれば問題ありませんが、例えば不特定多数に向けた広告などの場合は、固い文体は向いていないといえます。しかし人間の翻訳者は読者を想定したうえで翻訳するため、内容が正しいのはもちろんのこと、文体やニュアンスにも配慮してくれます。そのため、より読者に伝わりやすい訳文になります。

機械翻訳と翻訳者の使い分けが重要

ここで紹介したように、機械翻訳と翻訳者にはそれぞれ独自の強みがあります。だからこそ、翻訳したい文書に応じて使い分ける必要があります。文書の種類や翻訳言語、予算、期限、求める質などをしっかりと考慮したうえで、適切な翻訳方法を選びましょう。

また、機械翻訳をしてからポストエディットを行うという選択肢もあります。この場合、翻訳の質は人間の翻訳者には及ばないものの、機械翻訳の最大の欠点である誤訳は防ぐことができます。機械翻訳か翻訳者かで迷ったら、機械翻訳+ポストエディットもぜひ検討してはいかがでしょうか。

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グローバル化が進んでいる昨今では、多くの企業で翻訳を必要としています。翻訳が必要な文書が多ければ多いほど、機械翻訳と翻訳者の使い分けが重要になるといえるでしょう。

十印では1980年代から機械翻訳に取り組んでおり、機械翻訳の導入・運用なども含めてトータルでサポートしたします。機械翻訳以外についてお悩みの際にも、ぜひ気軽にお問い合わせください。

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