2020.03.02

動画コンテンツの機械翻訳の需要が急増!精度と欠点は?

YouTube市場はここ数年で爆発的に拡大し、小学生のなりたい職業ランキングでも今やユーチューバーは常連となりました。このような時代の流れとともに、動画コンテンツの翻訳の需要も増えています。実際に、機械翻訳を利用した翻訳を付けている動画もちらほらと動画サイトにあがっています。

ここでは、動画の機械翻訳の精度や欠点、さらに質の良い字幕翻訳にするために必要なプロセスなどをご紹介します。

需要が拡大した動画コンテンツの翻訳

以前であれば、子供が学校でテレビの話をするのは当たり前でした。ところが最近では「若者のテレビ離れ」が進んでおり、代わりにユーチューバーのことが話題に上るようになりました。そして、大人でもテレビからYouTubeに移行する人が増えてきています。

そんな現代では、動画コンテンツの翻訳の需要が大幅に伸びています。字幕翻訳というと映画やドラマを思い浮かべがちですが、動画コンテンツの翻訳の需要も負けていないといえるでしょう。

動画の機械翻訳の精度と欠点

動画に翻訳が付いていれば、海外の動画も気軽に楽しむことができます。動画投稿者としても閲覧数が増えるので、翻訳を付けて悪いことはありません。そのため、動画投稿者の中には1本1本の動画に複数言語での翻訳を付けている人もいます。翻訳をプロに依頼する場合にはそれなりにお値段がかかりますが、それだけの価値がある場合も多いといえるでしょう。

では、機械翻訳を利用した場合はどうでしょうか。機械翻訳は安い、あるいは無料であることが大きなメリットですが、精度が低すぎると逆効果になってしまう可能性もあります。そのため、機械翻訳で動画に翻訳を付けるときには十分に気を付ける必要があります。

動画の投稿プラットフォームとして最も有名なのはやはりYouTubeですが、実はYouTubeには自動翻訳の機能が存在します。チャンネルとしてある程度大きくなるとYouTube側から自動翻訳機能が提供されるため、わざわざ翻訳者に依頼しなくても翻訳を付けられるようになるのです。

非常に便利に思えるこの翻訳機能ですが、最初の問題は文字起こしの段階で起こります。動画を翻訳するときには、まず音声を聞いて文字起こしをする必要があり、YouTubeの翻訳機能は自動で文字起こしをしてくれます。しかしながら、文字起こしの段階で誤りがあると翻訳結果も大きく間違ったものとなってしまいます。

そして、文字起こしの正確性に大きく影響するのが発音の明瞭さです。アナウンサーが話した言葉はその大半が正確に認識される一方で、一般人の言葉の1割ほどは正しく認識されないといわれています。また、なまりのある外国人の日本語になると正確性はさらに下がります。
もちろん、文字起こしの正確性を決めるのはこれだけではありません。どれだけ発音が明瞭でも、複数の人が同時に話していると機械は話を正しく認識できなくなってしまいます。さらに、音声の質も影響するといえるでしょう。

このようなことから、動画全体を通してすべてが正確に文字起こしされる確率はかなり低いといえます。それに加えて、機械翻訳はまだ発展途上の段階です。ひと昔前に比べるとかなり精度が高くなったとはいえ、人間の翻訳者の質にはまだまだ及びません。そのため、動画の機械翻訳に高い精度は期待できないといえるでしょう。

実際に、YouTubeの機械翻訳機能を利用して動画に翻訳を付けたことで評価がかえって下がってしまったという実例もあります。それだけならまだしも、誤訳によって大きな問題が起こる可能性もないとはいえません。多くの人が日常的に動画を閲覧する時代だからこそ、翻訳にも細心の注意を払う必要があるといえるのではないでしょうか。

質の良い字幕翻訳のために必要なプロセス

現在では動画コンテンツの自動翻訳の精度は決して高くはなく、そのまま利用するのはデメリットが多いといえるでしょう。しかし、しっかりとプロセスを踏めば十分な精度の翻訳に仕上げることができます。

まず、音声認識ソフトを用いて文字起こしした文章を入念にチェックしましょう。この時点で間違いがあると、最後の翻訳も誤ったものとなってしまいます。音声認識ソフトには様々な種類があるので、必要な機能や予算に合わせて選ぶのがおすすめです。

そして、文字起こしをしたら次にプリエディットを行います。プリエディットとは、誤訳を防ぐために原文を修正することをいいます。1文を短くする、主語を明確にする、漢字を使う、表記を統一するなどの点に注意しながら、丁寧に修正していきましょう。

最後に、機械翻訳後のポストエディットも欠かせません。ポストエディットとは機械翻訳した訳文をもう一度人の目でチェックすることであり、この作業によって翻訳の質を確保することができます。動画ではニュアンスなどが重要な場合が多いので、言葉選びなども意識しながらポストエディットを行うようにしてください。

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ここでご紹介したように、動画の機械翻訳はまだまだ実用できるレベルには達していないといえます。しかしながら、動画の翻訳の需要が増えていることもまた事実です。動画の翻訳をするときには、人間の手も加えながら質の良い翻訳に仕上げていくことが重要だといえるでしょう。
十印では機械翻訳に力を入れており、プリエディット、ポストエディットを含めたトータルサポートも行っています。動画の翻訳でお悩みの際には、ぜひ気軽にご相談ください

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