2020.07.06

「翻訳」「ローカライズ」「トランスクリエーション」の違いとは

混同しやすい言葉として、翻訳、ローカライズ、トランスクリエーションの3つがあります。これらは似ているようで大きく異なるため、翻訳を依頼する際には正しく理解しておく必要があります。ここでは、翻訳、ローカライズ、トランスクリエーションの違いおよびローカライズの重要性についてご紹介します。

翻訳

翻訳とは、ソース言語を目標言語に変換することを指します。もともとの文書にできる限り忠実に言語を変換していくため、内容はほぼ変わりません。ソース言語と相違がないように一字一句訳していくため正確性は高いといえますが、その一方で訳文が硬くなってしまう可能性があります。また、忠実に訳すことによって意味が分かりにくくなる、あるいは意味を成さなくなってしまうケースもあります。

ローカライズ

ローカライズとは、製品やサービスなどを使用する地域の文化や慣習に合わせることを指し、日本語では「地域化」という言葉に当てはめることができます。翻訳する際には目標言語の文化、習慣、流行、宗教、法律など、様々な要素を考慮しながら翻訳することをいいます。例えば、文書内に値段に関する記述が合った場合にソース言語の通貨から目標言語の通貨に変換するのはローカライズに含まれるといえます。特にソース言語が使われている国においてマイナーな通貨が使用されている場合には、文書を理解しやすくするために重要な作業だといえるでしょう。

トランスクリエーション

トランスクリエーションとは、商品やサービスを宣伝するための広告、WEBページなどを、読み手に効果的にアピールする形での翻訳が必要なマーケティング系のドキュメントの翻訳のことをいいます。必ずしも原文に忠実に訳すわけではないため、翻訳やローカライズと比べて内容の違いが大きくなるのが一般的だといえます。また、トランスクリエーションを行うためには、翻訳スキルやローカライズスキルが必要なのはもちろんのこと、ブランディングなども考慮する必要があります。より高いスキルが必要とされるため、依頼した場合の値段も高くなる傾向にあるといえるでしょう。

ローカライズの重要性

多くの場合、文書を翻訳する際にはローカライズも行う必要があります。ここでは、ローカライズの重要性についてみていきましょう。

■直訳では通じない言葉の意味を伝えられる
ソース言語をそのまま直訳しても意味が通じないケースは多々あります。そして、よくある例の1つが慣用句やことわざです。

例えば、「豚もおだてりゃ木に登る」、「石の上にも三年」、「犬も歩けば棒にあたる」などの慣用句やことわざを直訳しても、他の言語ではまったく意味が通じません。むしろ、読み手を混乱させてしまうことでしょう。この場合は、目標言語における意味の近い慣用句やことわざに訳すことによって意味が通りやすくなるといえます。

また前述したように、通貨の変換などもローカライズではよく行われます。ドルなどの馴染みのある通貨であればどのくらいの価値かを予想することができますが、聞いたこともない通貨の場合は想像もつきません。正確性にも配慮しながらも、読み手に分かりやすくなるように工夫することが重要だといえます。

■正しいニュアンスを伝えやすくなる

文化が異なれば、内容が同じでも受け取り方は異なります。違う文化圏で育った人々にできるだけ正しいニュアンスを伝えるという意味でも、ローカライズは必須だといえるでしょう。

例を挙げると、映画「インサイド・ヘッド」では子供がブロッコリーを食べるのを嫌がるシーンがありました。これが、日本語版ではブロッコリーからピーマンに変更されています。アメリカなどの国々ではブロッコリーは子供が嫌がる野菜の定番ですが、日本ではそのようなイメージはないため、正しいニュアンスが伝わりやすくなるようにピーマンに変更されたのです。

また、ソース言語である言葉やフレーズが目標言語にはない、ということも多くあります。日本語であれば食事の前後に「いただきます」、「ごちそうさま」と言うのは当たり前ですが、多くの国ではそのような習慣はありません。このような場合も、ただ挨拶の意味を訳すのではなく、目標言語の国のライフスタイルに応じた訳を考える必要があるといえるでしょう。

■目標言語の国の文化を尊重できる
国によって、文化や宗教、考え方などは大きく異なります。ソース言語が使われている国では問題ない発言や行動が、目標言語が使われている国ではご法度とされているかもしれません。

特に気を付けたいのは宗教で、無宗教の人が多い日本とは違い、外国では何らかの宗教に属している人が大半です。そして、それぞれの宗教においてタブーとされることがあります。目標言語の国の文化を尊重するためには、このような点にも配慮しながら翻訳を行うことが大切だといえるでしょう。

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