2020.10.26

マイナー言語が消滅の危機?機械翻訳の精度が上がらない理由とは

情報通信技術の向上や交通手段の発達により、世界では急速にグローバル化が進んでいます。外国語教育も、以前にも増して重要なものになってきているといえるでしょう。その一方で、話者の少ない「マイナー言語」にはとある危機が迫っています。
ここでは、マイナー言語が直面している危機およびマイナー言語の翻訳についてみていきましょう。

グローバル化する世界の中でマイナー言語が直面している危機とは

英語や中国語をはじめとした世界中で使用されている言語が多くある一方で、あまり知られていないマイナー言語も数多くあります。そして、現代では多くのマイナー言語が絶滅の危機に瀕しています。
この原因の1つとしては、マイナー言語に対する技術的サポートが不足しているということが挙げられます。デジタル化が進展している昨今では、ソフトウェアやインターネットにおいてその言語を使用できることは言語維持に欠かせません。しかし、一部のマイナー言語においては言語処理のためのソフトウェアが存在していません。このことは、将来にわたって言語を維持する上で大きな弊害となります。
言語が失われる原因は、デジタル化のみではありません。過去には、植民地化や都市部への人の移動、地震をはじめとした天災などによって多くの言語が絶滅してきました。例えばオーストラリアでは250の土着言語がありましたが、移民の増加によってその90%が消滅寸前となっています。デジタル化に他の要素が加われば、マイナー言語が失われる確率はさらに高くなるといえるでしょう。

絶滅の危機にあるマイナー言語

世界では、現在約7000の言語が使用されているといわれています。中でも多く使用されている言語は英語、スペイン語、中国語、ヒンズー語、ポルトガル語、ベンガル語、ロシア語、日本語で、世界人口の4割がこれらの言語を使用しています。その一方で絶滅の危機に瀕しているマイナー言語も多くあります。
UNESCOは、2500の言語が消滅の危機にさらされているとしています。これらの言語は危険度に準じて「極めて深刻」、「重大な危険」、「危険」、「脆弱」の4つに分けられており、アイヌ民族の言語であるアイヌ語は「極めて深刻」に分類されています。
過去100年では、約400の言語が消滅したといわれています。とくに1970年以降は言語の多様性が失われる傾向が顕著になっており、今後もマイナー言語を中心として多くの言語が絶滅すると考えられています。

マイナー言語を守るべき理由とは

マイナー言語が消滅することに対して、問題がないという見方をする人も一定数います。確かに、世界で使用されている言語が少ない方が言語による障壁は少なくなるといえるでしょう。グローバル化の進行も、今以上にスムーズになるかもしれません。
しかし、言語はその土地の文化や人々のアイデンティティを反映しています。言語が失われることは、文化が失われることと同様だといえます。1つの言語が生まれるまでには長い時間を要しており、それを守る意味を利便性だけで語ることはできません。言語の消滅は、世界にとって大きな損失だといえるでしょう。

マイナー言語の機械翻訳の精度が低い理由

マイナー言語と呼ばれる言語の中にも、機械翻訳が使用できるものはあります。しかし、その精度は決して高いといえるものではありません。英語や中国語などの機械翻訳の質には遠く及ばず、丁寧なプリエディットやポストエディットが欠かせないといえるでしょう。
マイナー言語の機械翻訳の精度が低い理由としては、対話コーパスが十分ではないということが挙げられます。メジャーな言語であれば簡単に大規模な対話コーパスを収集することができますが、マイナー言語においてはそれが非常に困難であるため、不自然な訳出などが多くなってしまうといえます。

マイナー言語の翻訳の費用相場は高め

翻訳が必要な場合には、翻訳者に依頼するという方法もあります。機械翻訳の質が不十分で利用できない場合には、その言語の翻訳者を探すといいでしょう。
しかし、マイナー言語の翻訳の費用相場は高めになっています。これは、翻訳者そのものの数が少ないためです。
翻訳料金を決定する要素としては、大きく「難易度」、「文書の量」、「納期」の3つがあります。マイナー言語は難易度が高いため、費用を抑えたい場合には翻訳文書の量を少なくする、納期を長くするなどの工夫が必要だといえるでしょう。

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