2020.12.10

言語を置き換える手法の1つ「トランスリタレーション」とは

あちこちでグローバル化が叫ばれる中で、どの業界でも翻訳の必要性が高まっています。とくに国境を越えてビジネスを展開する際には、翻訳は必要不可欠な業務だといえるでしょう。

そして、ある言語を他の言語に置き換える際に利用される手法の1つが「トランスリタレーション」です。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、翻訳の際にはほとんどの場合でトランスリタレーションが行われています。

ここでは、トランスリタレーションの概要やトランスリタレーションの方法についてまとめました。ぜひ参考にして、翻訳に対する理解を深めてください。

トランスリタレーションとは

トランスリタレーションは「文字転写」、「翻字」、「字訳」、「音訳」などとも呼ばれ、ある言語で表記された言葉をその発音に基づいて他の言語で表記し直すことをいいます。トランスリタレーションが必要なものとしては名前や住所などの固有名詞が挙げられ、例えば”Barack Obama”を「バラク・オバマ」と訳すのはトランスリタレーションに含まれます。

ただしトランスリタレーションにおける訳し方は翻訳者によって異なる場合も多く、”Barack Obama”を「バラク・オバマ」ではなく「バラック・オバマ」と訳す翻訳者もいます。このように複数の訳があると誤解を生む可能性があるため、極力1つの訳になるようにしなければいけません。

なお、翻訳の構成要素にはトランスリタレーションの他に「トランスレーション」と「トランスクリエーション」があります。トランスレーションは原文の意味を汲み取って他の言語に訳すことを指し、翻訳の際には文脈や背景も考慮しなければいけません。トランスクリエーションはトランスレーション(翻訳)とクリエーション(創作)を組み合わせた言葉であり、翻訳言語の文化に基づいて意訳することを指します。映画の字幕や広告などの翻訳では、トランスクリエーションがよく使われています。

トランスリタレーションの方法 -1ー 文字をマッピングする

現在トランスリタレーションの機械化の主流となっているのが、文字のマッピングによるトランスリタレーションです。マッピングとは文字と文字の間の対応関係をシステム化する方式のことで、例えば「s→ス」、「mi→ミ」、「th→ス」というマッピングを適用することで”Smith”を「スミス」と訳すことができます。

ただし、実際には同じ言葉を同じ形で訳すのが適切だとは限りません。例えば、”Michael”という名前は「マイケル」と訳されることが最も多いといえます。Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)などは代表的な例だといえるでしょう。しかし、Michael Connelly(マイクル・コナリー)のように、同じMichaelでもマイケル以外の訳が一般的な場合もあります。このような事例のすべてに対応するのは、文字をマッピングする方法のトランスレーションでは難しいといえるでしょう。

トランスリタレーションの方法 -2- 既訳を探す

同じ言葉であれば、どの翻訳者が訳した場合でも訳が1つになるのが理想的です。そのためには、すでに他の翻訳者がその言葉を訳している場合にはその例にならう必要があります。

どの言葉においても、初めて訳す翻訳者は必ず存在します。その翻訳者にとっては必ずしも正解はなく、“Barack Obama”を「バラク・オバマ」と「バラック・オバマ」のどちらで訳しても問題はありません。どちらを選ぶかは、本人の感覚次第だといえるでしょう。

しかし、2人目以降の翻訳者にとってはすでに既訳が存在するため、同じ訳をしなければいけません。既訳がないというケースはそれほど多くはないため、正しいトランスリタレーションのためには丁寧に既訳を探すことが重要だといえます。

トランスリタレーションの方法 -3- 大規模候補リストを用いる

既訳を探す際には、従来はサーチエンジンを利用することが一般的でした。しかし、サーチエンジンを利用すると1つの言葉の既訳を探すだけで作業量が膨大になることが多くあります。そこで活用されはじめたのが、大規模候補リストです。

大規模候補リストには、大規模な対訳コーパスから抽出したカタカナ語がリスト化されています。リストはかなりの量になりますが、この中から既訳を探すことができればサーチエンジンに頼る必要がありません。大幅な時間の短縮につながるといえるでしょう。

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翻訳のプロセスにおいて注目されることの少ないトランスリタレーションですが、精度の高い翻訳のために重要であることは間違いありません。トランスリタレーションの質によって、翻訳文全体の質が左右されるといえるでしょう。

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