翻訳業界の発展を目指すイベント「JTF翻訳祭」とは
*第29回JTF翻訳祭における十印主催のネットワーキングセミナーの様子
翻訳・通訳業界は、日々発展を遂げています。そして、翻訳・通訳に関する情報を交換する場としつつ翻訳業界の今後を考えていく場が「JTF翻訳祭」です。
日本翻訳連盟が主催し、毎年秋に開催されますが、2020年は残念ながらCovid-19感染症の影響で「JTF翻訳祭」としては中止となり、「JTF Online Weeks(翻訳祭29.5)」が代わって開催されました。
ここでは、JTF翻訳祭の概要および最近行われた2019年の「第29回JTF翻訳祭」の紹介と、2020年の代替イベント「JTF Online Weeks(翻訳祭29.5)」についてご紹介します。
JTF翻訳祭とは
JTF翻訳祭は、日本翻訳連盟(JTF)毎年9月30日の「翻訳の日」を祝って行われるイベントです。翻訳・通訳にかかわる企業や団体、個人が参加し、翻訳品質や翻訳プロセス、機械翻訳など、様々なテーマにおけるセッションや企業・団体展示が行われます。また、交流パーティーでは翻訳に関する情報交換・意見交換などを行うことができます。
翻訳・通訳に求められるものは、時代とともに変化していきます。また、テクノロジーの発展は翻訳業界にも大きな影響を及ぼしています。翻訳業界全体としてのレベルアップのために、JTF翻訳祭は非常に重要な役割を果たしているといえるでしょう。
2019年のJTF翻訳祭について
2019年のJTF翻訳際では、十印はダイヤモンドスポンサーとしてJTF翻訳祭をバックアップし、参加者がテーマを絞って交流できるネットワーキングパーティ(写真参照)を主催しました。また、グループ会社でありディスクロージャー分野のフラッグシップカンパニーである宝印刷が、「英文開示義務化の時代がやってくる」、十印のリンギストによる「モノを売るマーケティング翻訳」の2つのセッションを行いました。ここでは、2019年の第29回JTF翻訳際のプログラムおよび機械翻訳関連のセッションの内容についてご紹介します。
■2019年のJTF翻訳祭のプログラム
【翻訳品質】
・質を守る翻訳者の工夫~現行受領の時点から
・JTF翻訳品質評価ガイドラインの基本
・ISO 17100に基づく認証制度の活用について
・「等価である」とは?英訳で考えてみよう
【翻訳プロセス】
・アジャイル開発時代の翻訳プロセス
・目指すは「三方よし」!
・UI翻訳は何が違うのか?
・玄人な関係を築くための本音トーク90分
【個別分野】
・産業字幕翻訳の可能性
・英文開示義務化の時代がやってくる
・英文契約書の取扱説明書
・モノを売るマーケティング翻訳
【通訳・他】
・ISO通訳規格の動向と遠隔同時通訳機材事例
・翻訳者の通訳デビューに欠かせない準備術
・フリーランスの税務申告と節税対策
・GALA発、欧米の翻訳テクノロジートレンド
【特許・医療】
・法的側面から考える特許翻訳
・どこまで来たかNMT?みんなで使ってみた
・チェッカーが見た和英特許翻訳の現状と課題
・メディカル翻訳の将来を考える
【機械翻訳(MT)】
・ニューラル機械翻訳の最前線
・機械翻訳時代のサバイバル戦略
・NMT+PE=医学翻訳の新たな潮流
・機械翻訳の品質評価を考える
第29回JTF翻訳祭については、JTFジャーナル305号にレポートが掲載されています。
■機械翻訳(MT)に関するセッションをご紹介します。
・ニューラル機械翻訳の最前線
ニューラル機械翻訳の仕組みやニューラル機械翻訳とそれ以外の機械翻訳との違い、機械翻訳の使い方などに関する紹介がありました。翻訳における人間と機械の共存に関する議論も行われました。
・機械翻訳時代のサバイバル戦略
翻訳会社が果たすべき役割や機械翻訳時代に翻訳者が考えるべきこと、翻訳者と翻訳会社が目指すべき関係性、翻訳者の学習と教育などに関する知見が共有されました。ポストエディットが仕事として成立するために必要なことに関する議論もありました。
・NMT+PE=医学翻訳の新たな潮流
医学分野のニューラル機械翻訳の現状や入力(原文)と出力(訳文)とPEの具体例、経験年数で層別化した医学翻訳者によるPE結果などに関する紹介がありました。機械翻訳特有のエラーに関する解説や自然言語処理研究と実務翻訳の接点に関する考察も行われました。
・機械翻訳の品質評価を考える
機械翻訳の品質を客観的、定量的に評価することは可能か、自動評価スコアは翻訳実務において妥当な評価指標かなどに関する考察が行われました。誰が評価を行うべきか、得られた評価をどのように活用できるかなどに関する議論も行われました。
2020年の「JFT Online Weeks(翻訳祭29.5)」について
Covid-19感染症拡大を防ぐ目的で、2020年のJTF翻訳祭は中止となり、代わって代替イベントである「JFT Online Weeks(翻訳祭29.5)」が行われました。会期は2020年11月9日(月)~11月21日(土)の2週間、形式はZoomウェビナー形式、テーマは「つながる時代を生き抜くために~原点への回帰と進化の道程~」です。
JFT Online Weeksのプログラムは以下の通りです。
・ITスタートアップにおける ローカライゼーションの重要性
・「テンプレート」を使って 罠に陥らない翻訳を
・二刀流を目指せ: 翻訳を通訳に活かす
・紆余曲折がありました~私の これまでと今、そしてこれから
・NIPTAとJTFの検定試験の紹介― 未来を見据えて
・世界共通言語 プレイン・ランゲージへの翻訳
・New trends in the European translation industry
・医療翻訳・医療通訳に求められる 臨床英語のスキル
・翻訳力の基礎-プロが紹介する 翻訳スキルの学び方
・これからの翻訳業界での 働き方を考えよう
・ポストエディットと翻訳の未来
・翻訳コーディネーターが語る 「手放したくない翻訳者」
・特許翻訳は難しくない 一般英語から特許翻訳に 緩やかにテイクオフ −
・5年先を見据えた ローカリゼーションのあるべき姿
・契約書翻訳の基礎ポイント オンラインレッスン ~さらなる進化のための原点回帰~
・100円からはじめる 翻訳初心者の ための辞書環境構築入門
「JFT Online Weeks(翻訳祭29.5)」のセッションのレポートも、ウェブメディアJTFジャーナルに掲載されています。是非ご覧ください。
2021年の「JFT 翻訳祭」について
2021年は、第30回目のJTF 翻訳祭であり、また日本翻訳連盟の設立40周年にあたります。十印も実行委員として参加し、参加者の皆様の有意義な会になるよう、尽力しています。2020年のJTF翻訳祭についてもご期待ください。今秋を予定していますので時間の都合がつく方は、ぜひご参加ください。
機械翻訳なら十印にご相談ください
創業以来半世紀以上、産業翻訳の分野でお客様のご発展のお手伝いをしてまいりました。機械翻訳についても1980年代から本格的に取り組んでいます。機械翻訳の導入にも、半世紀以上の翻訳プロジェクトでの経験をいかして最適なサポートを致します。
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