2023.10.02

新たなAI翻訳時代の翻訳

近年、AI翻訳ツールが大きく進歩しています。同時に、将来なくなる職業のひとつに翻訳業が挙げられるなど、AI翻訳ツールの発達が将来的に翻訳者の仕事を奪うという考えも増えています。しかし、本当に翻訳作業に人間が不要になるかと言うと、なくならないと考える意見が多いのも事実です。
本稿では、新たな翻訳手法であるAI翻訳ツールの台頭と共に変わる翻訳手法、AI翻訳ツールの特徴について、目的別翻訳手法による住み分けについて解説していきます。

翻訳とは何なのか?

翻訳とは何かという問いに、ある言語からもうひとつの言語への文章や表現の置き換えだと答える方が多いのではないでしょうか。実際に、翻訳の仕事でスポットが当たる部分は、この言語の置き換えです。しかし、言語の置き換えは、翻訳の一部の仕事でしかありません。
翻訳では、どのような表現が適切なのか、対象言語にない表現をどのように表現するか、というような適切な表現の選択がカギになります。伝える目的は何なのか、対象者はどのような人かなどに合わせ、単語の置き換えだけでは十分に伝わらないメッセージを、いかに異なる言語で伝えるかが翻訳であると言えます。

AI翻訳ツールの特徴

機械翻訳の転換期は、2016年のディープラーニング技術の登場です。それまで機械翻訳はあまり実用的ではないというイメージを持たれがちだったのが、実用レベルまで精度が飛躍的に向上しました。
AI翻訳と人間の翻訳の最大の違いは、翻訳の仕方です。ディープラーニングでは、単語ひとつひとつの意味を翻訳しているのではなく、文章中の単語を数値データに置き換えて次に来る単語を予測して翻訳しています。そのため、大量の文章の対訳データを人工知能自ら解析し、学習すればするほど精度が上がるのがAI翻訳の特徴です。

AI翻訳ツールでできることできないこと

AI翻訳ツールの進歩は目覚ましく、言語間によっては人の手による翻訳と大差がないほどのレベルの高い翻訳が可能になっています。そして、何よりも人間と比べて圧倒的にスピーディーに翻訳ができるところがAI翻訳ツールのメリットです。
しかし、いくらAI翻訳ツールの翻訳精度が向上したとはいえ、現時点では万能ではありません。文章のつながりによる類推、文脈やターゲット層の違いによる訳し分けなど、現在のAI翻訳ツールは状況に応じた翻訳は苦手です。そのため、成果物の目的や対象によって翻訳の言い回しを変えたり、ターゲット顧客に合わせた情報を盛り込んだり、伝えたいメッセージを伝えられるように翻訳するには、まだまだ人の手による翻訳が必要です。

AI翻訳ツールと人の手による翻訳の住み分け

AIが自ら学習するAI翻訳ツールは、機械翻訳のイメージをすっかり変えました。人間の脳機能を模倣したモデルによって文章全体を翻訳できるようになり、より人の手による翻訳に近い翻訳が可能になったからです。フォーマルな文体かつ主語の省略がないなど、完全な文章ではかなりの精度での訳出が可能になっています。このような文章では、圧倒的なスピードで翻訳ができるAI翻訳ツールを使い、それ以外を人の手による翻訳にするなど、今後は翻訳の目的や内容による住み分けが必要になっていくでしょう。
クリエイティブな翻訳トランスクリエーションや顧客体験のために特化された翻訳など、人間にしかできない翻訳もあります。AIにできることはAI翻訳ツールを、人にしかできないことは人が翻訳し、翻訳の選択の幅を広げることによって、最適な翻訳方法を選ぶとよいでしょう。

AI翻訳ツールの上手な活用の仕方

AI翻訳ツールの可能性は、今後益々広がるものと思われます。以前、専門分野に特化された翻訳は機械翻訳の苦手分野とされていましたが、近年では専門分野に特化したエンジンの利用による精度の向上により、AI翻訳ツールの利用は伸びています。
また、グローバルビジネスが珍しくなくなった昨今、翻訳が必要なシーンが多くなり、従来の翻訳方法では手に負えないという声も聞かれます。そこで、大量の文書、社内用文書、メールなどに機械翻訳を導入し、重要な翻訳業務に集中するという方法を選ぶことも可能です。正式な翻訳を待つ間にざっと内容に目を通したい時にも、AI翻訳は便利です。
他にも、AI翻訳ツールを使って訳出した後、必要に応じて内容の確認・訂正を行うポストエディットを行うこともできます。
このように、AI翻訳ツールの活用は、翻訳の選択肢の幅を広げ、シーン別に最適な翻訳方法を選ぶ自由を与えてくれます。

十印のAI翻訳「T-tact AN-ZIN®」

十印のAI翻訳「T-tact AN-ZIN®」は、大量の文書でもスピーディーに翻訳できるAI翻訳ツールです。国家プロジェクトで作成した、TOEIC960点相当の精度の高いAI翻訳エンジンで、高品質な翻訳を可能にしました。リーガル、金融、半導体、特許の分野で、ビジネスニーズに合わせた分野特化型エンジンは、各分野の企業からの翻訳データの収集で常にその精度を高めています。
「T-tact AN-ZIN®」は、セキュリティ面でも安心してご利用いただけるAI翻訳ツールです。暗号化通信でIPアドレス制限機能があるため、情報漏洩リスクもありません。
PDFファイルをはじめ、マイクロソフト社のオフィス製品上で直接翻訳できるプラグイン機能は、業務の効率化を実現します。
安全で高精度のAI機械翻訳導入をお考えなら、お気軽に十印までお問い合わせください。

まとめ

十印では、1980年代より機械翻訳の研究に協力してまいりました。AI翻訳の導入をご検討中であれば、導入計画から効率的な運用方法までサポートいたします。

AI翻訳サービス以外にも、ご希望に応じた翻訳レベルでのローカリゼーションやトランスクリエーションもご提供しております。さまざまなシーンに適した翻訳手法を用意し、最適な結果をお届けいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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