2024.05.10

機械翻訳の進化で英語の知識は不要になる?

AI翻訳ツールをはじめとした機械翻訳の進化は近年目覚ましいものがあり、これでもう英語の勉強は不要になるという声も聞かれます。英語の知識がなくてもすべて機械翻訳でコミュニケーションできるのであれば、本当に機械翻訳ツールのみで意思の疎通が図れるのか、それとも英語の知識はまだまだ必要なのか気になるところです。

本稿では、機械翻訳の進化と共に英語の知識は不要になるのか、機械翻訳の特徴と限界について解説していきます。

グローバル化と機械翻訳の進化

機械翻訳の進化は進み、AI翻訳ツールなどは人間とほぼ変わらない翻訳レベルに達しています。内容によっては、そのまま使えるほどのレベルの翻訳ツールがあれば、人間が翻訳をする必要がなくなるため、英語の学習は必要なくなるというのが英語不要論の考えです。

手軽に使えるツールがあるのに、なぜ手間と時間のかかる英語学習をしなければならないのかという考え方は一理ありますが、日本人同士が日本語で会話をしていても誤解が起きるのであれば、当然機械翻訳にも同じリスクはあります。

また、AI翻訳ツールはディープラーニングにより日々進化しているため、一見スムーズな翻訳に見えても誤訳や訳抜けがある可能性もあります。そのような翻訳の問題に気づくためには、英語力が欠かせません。

機械翻訳とコミュニケーション

グローバル化と共に英語をはじめとした外国語でのコミュニケーションの重要性が再認識されています。以前日本で使われていた英語学習方法は、単語の暗記や文章の翻訳が主でしたが、近年ではコミュニケーションを中心とした学習方法へと変化しています。「content(教科科目)」と「language(言語)」を合わせた「CLIL : Content and Language Integrated Learning (内容言語行動型学習)です。外国語として英語を学ぶというよりも、教科科目などの学習に英語を手段として使う方法です。例えば、新聞を読んだりニュースを見たりして、その内容について議論したり、あるテーマについて英語で学んで話し合うなど、英語をツールとして聞く、読む、話すことを通じて学んでいきます。つまり、単語や英文の丸暗記ではなく、文化や習慣、思考方法などバックグラウンドと同時に言語を学んで異なる文化への理解を深め、より高度なコミュニケーションを可能にしようという考えです。このようなコミュニケーションを目的とした翻訳は、機械翻訳の利用のみではできません。

機械翻訳の可能性とメリット

コミュニケーションが機械翻訳の苦手分野であるなら、スピーディーな翻訳は機械翻訳ツールの得意とするところです。人間はいかに英語の得意な人であっても機械翻訳のスピードにはかないません。そのため、英語の得手不得手に関わらず、急いで翻訳する必要があれば機械翻訳を使うメリットがあります。

また、英語の苦手な人が機械翻訳を使えば、知らない単語や表現が学べる、意味の取れない文章を理解できるというメリットもあります。

そのほかにも、英語以外の言語において全く知識がなくても翻訳してくれるというメリットは大きく、機械翻訳は英語の知識では対応できないときにも役立ちます。

グローバル化により様々な情報が簡単に手に入るようになった今だからこそ、上手に機械翻訳を取り入れればさらなる可能性へのチャンスが広がります。

機械翻訳の限界と英語学習

近年進化した機械翻訳ですが、機械翻訳にもできないことはあります。例えば、コンテクストを理解して単語の意味を正しく使い分ける、その場の雰囲気や状況に合わせ自然な翻訳にするなどは、将来的には可能になるかもしれませんが、現時点では機械翻訳にはできません。日本語では主語がなくても意味が通じることも多いですが、英語では必須であるため、主語のない文であれば機械は勝手に主語を選んで翻訳してしまいます。誤訳を避けるために、機械翻訳ではあらかじめ主語を補うなどの工夫が必要です。

また、機械翻訳では訳抜けが起きる可能性もあるため、機械翻訳によって訳出された文章のチェックであるポストエディットという作業が必要になります。

このように、機械翻訳ではできないこともありますが、辞書代わりに単語を調べたり、自分で作った文が正しいかどうか確認したりと、英語学習への利用も可能です。機械翻訳のメリットを活かして状況に応じて使い分けられるかどうかがカギとなるでしょう。

十印のAI機械翻訳「T-tact AN-ZIN®」

十印のAI翻訳「T-tact AN-ZIN®」は、大量の文書でも素早く翻訳のできる機械翻訳ツールです。TOEIC960点相当の精度の高いAI翻訳エンジンで、高品質な翻訳が実現できます。契約書専用のリーガルエンジンをはじめとした専門分野に特化したエンジンでは、独特の言い回しや語彙にも対応可能です。

PDFファイルをはじめ、マイクロソフト社のオフィス製品上でも直接翻訳できるプラグイン機能で、効率的な翻訳作業を可能にします。

グローバルな情報を的確に伝えるためのスピーディーかつ安心・安全な機械翻訳導入なら、お気軽に十印にお問い合わせください。

まとめ

十印では、半世紀に渡る翻訳に関するノウハウをもとに、ビジネスをはじめとした様々なシーンでの翻訳を行っています。十印のAI機械翻訳「T-tact AN-ZIN®」は、グローバルな舞台でいち早く情報提供をするお手伝いをします。

また十印では、AI翻訳サービス以外にも、シーン別にご希望の翻訳のレベルに合わせてローカリゼーショントランスクリエーションサービスにも対応しております。

機械翻訳の導入、各種翻訳には、丁寧なサポートの十印に是非ご相談ください。

十印のAI翻訳サービスT-tact AN-ZIN®についてはこちら

▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。                   
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

backtotop