AI翻訳の進化と複雑化:上手に使いこなすには?
テクノロジーの進化と共に、機械翻訳も大きな変遷を遂げています。生成AIやAI翻訳ツールが簡単に使えるようになった今、目的に合わせて最適なツールを選択できるかどうかという、人間の選択眼が重要になってきています。
とはいえ、何が正しいのか、何が違うのかを見分けるのは決して容易ではありません。違いを理解して正しく使えば業務効率アップにつながりますが、間違った使い方ではせっかくのAI翻訳ツールの利点を生かすことはできません。
本稿では、進化し複雑化するAI翻訳ツールを上手に使いこなすために気を付けるポイント、優先すべき機能について解説をします。
AI翻訳ツールの進化と複雑化
近年AI翻訳ツールの精度は高くなっており、人の手による翻訳に近づきつつあります。しかしツールごとに精度は異なり、どのツールを使うかによって翻訳結果は異なるため、慎重な選択が必要です。
翻訳ツールの最大のメリットは、スピーディであることです。近年のAI翻訳ツールには、コピーペーストをしなくても、WordやExcel、PDFでも、直接ファイルから翻訳できるサービスを提供しているものもあります。そのため、作業効率は格段に上がっています。しかし、ツールによっては、様々な便利な機能が付いている反面、全ての機能を使いこなせない可能性もゼロではありません。そこで、優先させるべきものを選択する必要が出てきます。
AI翻訳ツールの指標:BLEUスコア
AI翻訳ツール選びのポイントは、まず精度の高いツールを選ぶところからです。AI翻訳ツールの精度を図る方法として、BLEU(BiLingual Evaluation Understudy)スコアがあります。BLEUスコアは0から100で示され、数値が高いほど精度が高いと判断されます。つまり、BLEUスコアの数値が高いほど、高品質な翻訳ができる高精度のAI翻訳ツールであるという評価です。BLEUスコア40以上であれば高品質とされ、BLEUスコア60以上で、人が翻訳した場合よりも高品質であるとされています。そのため、AI翻訳ツールの選択は、BLEUスコアを基準に選ぶと間違いないでしょう。
複雑なAI翻訳ツールはここを押さえる
AI翻訳ツールの進化と複雑化に、何を優先してよいかわからないという場合、まず次の3つのポイントを押さえるようにしましょう。
■安全性
近年のAI翻訳ツールでは、翻訳データを収集して精度向上に役立てるという方法が取られています。データの収集・利用方法、通信方法などを確認し、安心して使えるツールかどうかを確認するとよいでしょう。また、企業としてのコンプライアンスがどうなのかも重要なポイントです。
■専門分野への対応
AI翻訳ツールの進化と共に、汎用エンジン以外にも専門分野の特化エンジンを提供しているサービスがあります。高度なAI翻訳ツールでは、よく利用する用語の効率的な統一をしたり、業界特有の言い回しを用いたりできる、カスタマイズ可能な用語集を使うことができます。それによって翻訳文の特異性を高められるようになるため、専門分野の翻訳の精度を上げることができます。
■ファイルからの直接翻訳
Word、Excel、PDFなど、ビジネスで欠かせないファイルから直接翻訳できるかどうかは、作業効率を大きく左右します。翻訳にかかる時間は、どの翻訳ツールも大差はありません。コピーペーストをする手間と時間は作業効率の低下を招くため、利用する機会の多いファイルに対応していないツールの利用は避けましょう。
このように、AI翻訳ツールを選ぶ際は、安全性の確立ができる、業務の効率化で生産性を向上させる、専門分野の翻訳ができるという、ビジネスにおける3つの重要な要素を併せ持つツールを選ぶことが大切です。
業務内容や分野に合わせて、精度の高さ以外に何が重要なのかを見極め、目指す翻訳業務に適したAI翻訳ツールを選択できるようにしましょう。
十印のAI機械翻訳「T-tact AN-ZIN®」
十印のAI翻訳「T-tact AN-ZIN®」は、大量の文書でもスピーディに翻訳できる機械翻訳ツールです。国家プロジェクトで作成した、TOEIC960点相当の精度の高いAI翻訳エンジンで、高品質な翻訳が可能となりました。
特許・金融をはじめとする専門分野の特化エンジンでも、総務省と共に翻訳データを収集し、機械翻訳エンジンの精度を高めるためのプロジェクト参加で訳文の品質向上を実現しました。
「T-tact AN-ZIN®」は、セキュリティ面でも安心してご利用いただける機械翻訳ツールです。暗号化通信でIPアドレス制限機能があるため、情報漏洩リスクもありません。
また、PDFファイルをはじめ、マイクロソフト社のオフィス製品上でも直接翻訳できるプラグイン機能により、効率的に業務を行うことができます。
安全で高精度のAI機械翻訳ツール導入をご検討中なら、きめ細かなサポートの十印までお気軽にお問い合わせください。
まとめ
十印は、1980年代より機械翻訳の研究に寄与してきました。AI翻訳「T-tact AN-ZIN®」の導入をお考えなら、計画から効率的な運用方法まで寄り添い、お客様のビジネスをサポートいたします。
また、AI翻訳サービス以外でも、ご希望の翻訳のレベルに合わせてローカリゼーションとトランスクリエーションもしております。様々なシーンにおいて翻訳の内容を合わせてきた、豊富なライティング経験のある十印に、是非ご相談ください。
▶著者紹介
株式会社十印 マーケティング部
石川弘美
1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。