生成AI翻訳こそポストエディットを使おう
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近年、ChatGPTをはじめとした生成AIを使って、翻訳ができるようになりました。スピードと精度は機械翻訳ツールと遜色なく、要約もでき、目的別に訳し分けられるとして、従来の翻訳ツール以上だという声も聞かれます。しかし、本当に生成AIの翻訳は万能なのでしょうか。
本稿では、生成AIを利用した翻訳のメリットや特徴とともに、どのようなところに注意したらよいのか、上手な活用方法について解説していきます。
生成AIを使って翻訳するメリットとは?
生成AIは翻訳が専門のツールではないため、専門用語に特化された特化エンジンがあるわけではありません。しかし、プロンプトと呼ばれる命令文で希望の言語への翻訳を指示すると、迅速に翻訳してくれます。
生成AIでは、例えば「40代女性をターゲットとしたキャッチコピーに使える文で英語に翻訳してください」「小学生にも分かる文章で日本語に訳してください」などと、目的別に翻訳したい内容を特化した訳文を作ってもらえるところが特徴です。
このように、フォーマルからカジュアルまで、目的やターゲットに合わせて最適化された訳文ができるところが、生成AIを使って翻訳するメリットといえるでしょう。
生成AIの翻訳でできること
生成AIは、一般的な翻訳ツールと異なり、翻訳専用の機能があるわけではありません。しかし、プロンプトを使えば、希望の言語に翻訳することができます。利用する生成AIにもよりますが、ChatGPTであれば、英語、韓国語、スペイン語、中国語、ドイツ語、フランス語などをはじめとした、50以上の言語に翻訳が可能です。
希望の言語、希望の文体などの特徴をプロンプトに入力すれば、生成AIを使った翻訳ができます。また、生成AIを使えば、長文をまとめた上で要約文を翻訳することも可能です。
生成AIを翻訳に使う際の注意点
一般的な翻訳ツールとの違いは、インターネット上のデータを元に学習しているため、インターネットで使用される機会の多い英語の精度は高くなります。しかし、あまり使用されていない言語では精度が低くなるという特徴があります。
また、生成AIには誤訳や訳抜け、ハルシネーション(幻覚)と呼ばれる、事実と異なる情報を生成してしまう可能性があるため、人の手によるチェックは欠かせません。
そのため、生成AIを使って翻訳した後に、ポストエディットと呼ばれる人手によるチェック工程で、誤訳の修正、コンテクストに合わせた訳し直しなどを行う必要があります。
また、翻訳結果がプロンプトの内容をどの程度反映しているか、期待どおりの内容かは、人が判断する必要があります。
生成AIとポストエディットを上手に使おう
便利な生成AIですが、生成AIによる翻訳をそのまま使うのは、やはり慎重になるべきでしょう。大量のデータから学習を行って人間の言語使用パターンを模倣しているとはいえ、学習データの量と質によっては不十分である場合もあるからです。特に、専門用語やマイナーな言語では、精度が低くなる傾向があります。
そのため、生成AIによって翻訳された文書をポストエディットと組み合わせれば、安心して利用できます。
目的に応じて文書を異なる文体や内容に変更できる生成AIを使った翻訳であれば、よりターゲット向けに最適化が行いやすいでしょう。その上で、翻訳内容に間違いないか、文体は適切かなどは、ポストエディットによって人が確認すればよいのです。このように、生成AIとポストエディットの組み合わせで、目的に合わせた質の高い翻訳が可能となります。
ポストエディットとは?
ポストエディットは、AI翻訳をはじめとする機械翻訳ツールによる翻訳の後に、人の手によって翻訳内容をチェック・修正する工程です。テクニカル文書による専門用語、特定のコンテクストにおける語彙の修正などをはじめとし、訳抜けや文体の体裁を整えるなど、機械翻訳ツールの翻訳結果をより人手による翻訳に近いものへと変える作業です。
ポストエディットには2種類あり、AI翻訳ツールによって訳出された文章を大まかに修正するライトポストエディットと、人手による翻訳と遜色ないレベルまで修正するフルポストエディットがあります。
ポストエディットを依頼する際は、国際標準規格に則った作業が可能かどうかを目安に、経験豊富な翻訳会社などの依頼先を選ぶと安心です。
十印のポストエディット
十印では、ご要望に合わせてライトポストエディットからフルポストエディットまで、高い翻訳・ポストエディットの知識を持った経験豊富なポストエディターが、機械翻訳の訳文の最適化を迅速に行います。
ポストエディットの国際標準規格ISO18587に則った高品質なフルポストエディットサービス以外にも、短期間での納品をご希望ならライトポストエディットも承ります。
機械翻訳、生成AIなどの訳文のポストエディットをご検討中なら、ぜひ経験豊富な十印にお問い合わせください。
まとめ
十印は、文書・映像などの各種翻訳、ポストエディットなど、歴史ある翻訳会社ならではの翻訳のプロによるノウハウで、翻訳と翻訳関連サービス全般をご提供します。AI機械翻訳ツールのご利用からポストエディットまで、お客様に寄り添いサポートします。翻訳に関するお悩みがあれば、お気軽に十印までご連絡ください。
▶著者紹介
株式会社十印 マーケティング部
石川弘美
1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。
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