2018.05.30

クラウドソーシング翻訳の落とし穴

過去数年、翻訳を依頼する方法として少しずつ注目を浴びてきたのが「クラウドソーシング翻訳」です。いくつかのメリットから普及している一方、シビアな翻訳案件で利用する場合には気をつけなければならない落とし穴もあります。

普及するクラウドソーシング型翻訳

「クラウドソーシング」とは、仕事をアウトソーシングしたいユーザーと仕事を受注したいユーザーつなげるWebサービスです。専用サイトには複数の「ワーカー」が登録されており、アウトソーシングしたい個人や法人は案件とマッチングのよいワーカーを選ぶことが可能です。また、案件に対して仕事をしたいワーカーを募集するスタイルのクラウドソーシングサイトもあります。

ライティング、デザイン、プログラミングなど、さまざまな案件をクラウドソーシングサイトで依頼することができます。受注可能なワーカーが登録されていれば、翻訳もクラウドソーシングで依頼可能です。資料の提供から納品物の受領、支払いまでクラウドソーシングサイトで完結できます。

フリーランスや副業で翻訳の仕事をしたい人材が増えていることから、クラウドソーシングサイトでは翻訳に対応しているワーカーが目立っています。また、一般的に翻訳会社のサービスよりも安価で発注できることから、コストをかけずに翻訳を実施する方法として普及してきているようです。

ビジネス利用可能か? クラウドソーシング翻訳の注意点とは

クラウドソーシング翻訳は手軽さ、コストの低さから注目されていますが、ビジネス利用を予定しているテキストの翻訳をクラウドソーシングで依頼するのは危険かもしれません。懸念されるのはワーカーから納品される訳文の質です。

クラウドソーシングサイトによって違いはありますが、原則としてワーカーの登録には特に条件は設けられていません。希望すれば、誰もが「翻訳者」になることができます。募集をかければ多くのワーカーが殺到しますが、期待するクオリティの訳文が提出されるかはわかりません。

ワーカーのアカウント情報を見れば、それぞれのスキルや実績を確認可能です。「ネイティブ翻訳」「実績多数」といった文言がプロフィールに記載されているワーカーもいるでしょう。しかし、こうした記載が「信頼できる翻訳者」であるエビデンスにはなりません。

クオリティにこだわらない場合やテスト的な翻訳を希望する場合は、安価なクラウドソーシング翻訳を利用してもいいでしょう。しかし、誤訳や細かなニュアンスが必要とされる翻訳にクラウドソーシングを用いるのは、基本的におすすめできません。

***

クラウドソーシング翻訳をビジネス利用する危険性についてお話しました。正確かつ用途を意識した訳文を希望するのであればコストだけを意識せず、顧客としっかりと打ち合わせを行ってリレーションシップを形成したうえで仕事をしてくれる翻訳会社を選ぶのがおすすめです。

backtotop