インバウンドの増加に伴うトラブルを事前回避するための翻訳
2023年5月8日に新型コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に引き下げられ、ようやく以前の日常に戻りつつあります。この変化により、訪日観光客も増加しており、2023年のインバウンド需要は早くもコロナ前を上回ると予想されています。(*1)
しかし、増加する需要に伴い、トラブルも予想されます。特に、言葉の問題や文化・習慣の違いによるトラブルは、双方に悪影響を及ぼすことがあります。今後も日本の旅行業界ではインバウンドの受け入れが増えていくでしょう。しかし、受け入れ側との関係が良好でなければ、長期的に外国人旅行者を受け入れることは難しくなるかもしれません。
どうすればインバウンドとのトラブルを減らせるのか、翻訳を使った事前回避の方法を探ります。
*1 野村総合研究所「2023年のインバウンド需要は4.96兆円と早くもコロナ前を上回る予想」
インバウンド増加に伴う訪日中トラブルと問題点
不法ガイドによる旅行案内、自国との文化や習慣の違いによる迷惑行為など、インバウンドの増加に伴い、トラブル数も増えています。訪日中のケガや病気の際、外国人向け医療情報が不十分である、受け入れ側の体制が整っていないなどの問題もあります。
また、一番身近なところでは、ごみのポイ捨て、立ち入り禁止の場所への立ち入り、飲食禁止の場所での飲食、禁煙場所での喫煙、撮影禁止の場所での写真撮影、大声で騒ぐ、トイレの使い方など、日本人にとって当たり前のマナーが守れていないためのトラブルです。
今回は、観光地などでのトラブルにスポットを当てます。
●インバウンドとのトラブルの要因
観光地や宿泊施設、飲食店や商店などでのインバウンドとのトラブルには、大きく分けて2つの要因があります。1つは、問題とされる行為が、外国人観光客の国ではマナー違反や禁止行為ではないため、自国と同じように振舞って問題ないと考えている可能性です。2つ目は、禁止やルールなどを呼び掛ける看板などが、日本語でしか書かれておらず、日本語のわからない外国人には通じていない、もしくは、書かれている外国語が不正確で伝わっていない場合です。
1つ目のケースでは、バックグラウンドの違う外国人観光客に日本人と同じ俯瞰を期待するのではなく、日本でのルールをわかりやすく伝えることが大切です。そのため、到着時、または観光前に自国とのルールやマナーの違いを知ってもらう必要があります。2つ目のケースでは、受け入れ側の体制を整え、日本語以外の言語での正確な表記が大切となってきます。
文化・習慣・価値観の違いの理解と準備を
受け入れ側とインバウンド側の双方に共通言語がない場合、ジェスチャーによる説明にも限界はあり、つたない英語などで意思の疎通は難しく、時には誤解を招く恐れもあります。誤解により、更に問題をこじらせないためには、何に取り組めばよいのでしょうか。
ヒントは、翻訳で使うローカリゼーションです。ローカリゼーションと同じ手法での日本のルールやマナーの表示と、文化・習慣・価値観の違いの双方の理解があれば、トラブルは減らせます。そのため、受け入れ側の事前の準備は欠かせません。従業員の教育、トラブル時の対応方法の習得も含め、対策が後手にならないよう備えるのです。宿泊施設なら、入浴方法や、畳の間の使い方など、日本独自の習慣やマナーの説明なども良い例でしょう。
ローカリゼーションについての詳しい説明は、こちらからご覧ください。
●インバウンドとのトラブル回避方法は?~ギリシャの取り組みをヒントに~
インバウンドのマナー違反は、気持ちの良いものではないかもしれませんが、だからこそ受け入れ側はトラブルの事前回避の方法を知る必要があります。日本人とインバウンドの行動違いを、「知らないからできないのだ」と理解することが大切です。具体的には、日本の、または訪問場所の独自のルールやマナーをわかりやすく伝えることです。日本人にとっての当たり前は、外国人にとっては当たり前ではないため、違いに関する説明がなければ伝わりません。自分が海外に行って、日本で問題のない行動を非難されたら、理不尽だと感じるのと同じです。例えば、ギリシャの島では、下水設備の事情等により、トイレットペーパーを流してはいけないトイレがよくあります。日本にはない習慣ですが、表示があればわかるため、現地のルールに従うことは可能です。
また、観光立国ギリシャでは、どこに行っても数か国語の案内や冊子があります。ホテルや観光施設のウェブサイトも多言語表示が一般的です。ギリシャ語は一般的なアルファベット表記とは違うギリシャ文字を使用するため、読み方がわからない外国人には地名さえわかりません。そのため、外国人観光客が多いギリシャでは、ギリシャ語を読めない人向けの表記が大前提になっています。
日本でもこれをヒントに、誰もがわかるよう、多言語表示で必要なメッセージを伝えられるようすることが、トラブル回避のカギとなるでしょう。
●多言語による表示や冊子・ウェブサイト・動画の導入
ピクトグラムのみの表示ではあまり効果がない場合、案内や表示が多言語であれば、伝わりやすくなります。「ゴミはこちらに捨ててください」「白線に沿って並びましょう」「大声での会話は慎みましょう」などのマナー、「立ち入り禁止」「撮影禁止」「禁煙」などのルールを守るように呼び掛ける際に、簡単に使える手法です。
また、マナーやルールだけでなく、観光地や宿泊施設での注意点、簡単な日本語表現や観光案内などを合わせたリーフレットや冊子、ウェブサイト、動画を多言語で導入するのも効果的です。旅行者により興味を持ってもらうために、好奇心をくすぐるような工夫をしてみるとよいでしょう。
まとめ
十印では、翻訳会社としてのインバウンド層向けの観光ウェブサイト、ポスターや看板製作、飲食店のメニュー、およびリーフレットや各種冊子の制作など、多岐にわたる翻訳サービスを多言語で提供しています。機械翻訳を使えば、納期の短縮が可能となります。また、日本の文化背景や習慣を念頭に入れたローカリゼーションも、目的に合わせて対応致します。
機械翻訳に1980年代より取り組んでいる十印では、ポストエディットの導入・運用なども含め、トータルサポートを致します。翻訳でお悩みの際は、是非お気軽にお問い合わせください。
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