2025.02.13

エンタメ翻訳にトランスクリエーションを使ったら?

近年、エンタメ翻訳と呼ばれるエンターテインメント向けの翻訳の需要が高まっています。日本のサブカルチャーが世界に広がったり、世界中のエンターテインメントが日本語で楽しめたりと、もはや言葉の壁はなくなったかのように思われます。しかし、「なんとなく違和感がある」「日本語が不自然」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

本稿では、トランスクリエーションとは何か、エンタメ翻訳が必要なシーンでどのようにトランスクリエーションを活用できるのかについて解説していきます。

エンタメ翻訳とは?

エンタメ翻訳とは、エンターテインメントに関する翻訳という意味です。エンタメといっても、動画、ゲーム、マンガ、小説、ドラマなどのコンテンツから、関連イベント・講演、来日プロモーションまで、幅広い分野があります。

翻訳内容も、脚本、絵コンテ、アニメ・CG、字幕、吹き替えなど、多岐にわたります。
もはやエンタメ翻訳なしでは、快適な日常生活を送ることが難しいほど、気付かないうち私たちの生活に溶け込んでいるのです。

トランスクリエーションをエンタメ翻訳に使う理由とは?

トランスクリエーションは、原語と同じメッセージを伝えるために、現地の状況に合わせて表現方法が変えられる、自由度が高い翻訳です。

翻訳の正確さを多少犠牲にしても、ほかに優先すべきポイントがあれば優先し、何を残して翻訳するかなどが翻訳者に委ねられるところも、一般的な翻訳とトランスクリエーションの大きな違いだといえます。そのため、元の文が同じでも、目的が異なれば異なる表現を使うこともできます。

例えば、同じ内容でも、アニメとマンガなどでは当然表現は異なります。登場人物の口癖などは、直訳しても分からない可能性が高いため、翻訳言語で自然かつ状況に合ったトランスクリエーションを行う必要があります。

このように、トランスクリエーションのエンタメ翻訳への利用で、よりエンターテインメントを楽しめるようになるのです。

エンタメ翻訳のトランスクリエーションの例

トランスクリエーションの例として、「アナ雪」として有名な、ディズニーの「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」を見てみましょう。

アニメ版では、「リップシンク」と呼ばれるアニメーションの言語版の口の動きに合わせて近い母音を選ぶ必要があるため、翻訳される単語にも制約があります。また、歌にのせられるように、音節数を合わせる必要もあります。一方で舞台版では、字余りでもメロディーにのるようであれば、伸ばす母音が異なっても問題はありません。

また、英語では一音節に一単語でも、日本語では一音節に一音であるため、伝えられる情報量が減ってしまいます。そのため、何を残して伝えるのかは、翻訳者の判断に委ねられます。

エンタメ翻訳のトランスクリエーションの正解はない

トランスクリエーションに、正解はありません。「Let It Go」を見ると、言語によって実にさまざまな解釈が行われています。

例えば、日本では「ありのままで」という原文とはかけ離れたトランスクリエーションになっていますが、なかなかありのままでいることの難しい日本だからこそ、共感を呼ぶ表現だともいえるでしょう。

また、フランス語では「Libérée, délivrée」となっていて、日本語の「解放された」に近いトランスクリエーションとなっています。これは、自分を解放するという意味だけではなく、フランス革命から続く自由の国フランスというイメージを想起させ、より共感される表現となっているとも考えられます。

このように、トランスクリエーションはそれぞれの地域に合わせた文化的背景を踏まえ、共感される表現を使う翻訳であり、エンターテインメントと相性がよい手法なのです。

十印のトランスクリエーション

十印では、お客様とのコミュニケーションを大切にしています。ヒアリングでお客様の伝えたいメッセージをしっかり受け止め、十印のノウハウと技術力で、最適なトランスクリエーションのご提案をします。

十印のトランスクリエーションは、マーケティング効果を高め、ターゲット顧客の心をつかみ、エンターテインメントのグローバルな成功へと導きます。効果的なマーケティングとブランディングには、ぜひ十印のトランスクリエーションをご検討ください。

まとめ

十印では、半世紀にわたる翻訳に関するノウハウをもとに、製品特徴や企業・ブランドのイメージを、言葉や文化の壁を感じさせずに伝える翻訳を行っています。原文に忠実な翻訳から、ローカリゼーションによる最適化、作品やブランドのストーリーを伝えられるトランスクリエーションまで、幅広い翻訳技術で、グローバルな舞台での訴求を成功させるお手伝いをします。

ターゲット顧客やエリア・商材に合わせた翻訳はもちろん、現地向けに最適化された内容で理解を高めるローカリゼーション、印象に残るトランスクリエーションを行い、マーケティング力向上へと導く翻訳は、技術力のある十印ならではです。

グローバルなビジネスで、トランスクリエーションをはじめとするマーケティング効果の高い翻訳をお考えなら、どうぞお気軽に十印にお問い合わせください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

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