マンガ翻訳は何が違う?写植の難しさ

日本が誇るマンガ文化は世界でも大人気です。2021年のアメリカにおけるマンガ市場は前年比162.5%となりました。世界のあちらこちらで、日本のマンガを見かけるようになり、日本のマンガ市場はグローバルな広がりを見せています。
しかし、マンガ人気の高まりと共に、マンガ翻訳ではどのように翻訳を依頼すればよいのか、お悩みがあるかもしれません。
本稿では、マンガ翻訳の特殊性、写植の難しさについて解説していきます。
マンガ翻訳は何が違う?
日本のマンガが世界で読まれるためには、翻訳が欠かせません。近年、日本語から別の言語への翻訳は、AI翻訳ツールをはじめとした機械翻訳が多く使われるようになっています。しかし、マンガ翻訳にはあまり使われていません。
マンガ翻訳への機械導入が遅れているのは、マンガの特殊性に起因すると考えられます。たとえば、「吹き出し」や「コマ」の配置によりテキストの配置が変わり関連性が都度変わる、文脈情報が重要、キャラクター独自の言い回しや作品独自の表現があるなどが挙げられます。
マンガでは、吹き出しごとの翻訳ではなく吹き出しの順序を入れ替えつつ翻訳しなければならないなど、テキストのみの翻訳より制約の多い中で翻訳を行わなければなりません。また、文化的な違いなども考慮しなければならないなど、自然な翻訳にするにはさまざまな技術が必要とされるのです。
マンガに欠かせない写植とは?
マンガでは、「写植」という工程が欠かせません。写植とは、写真植字の略であり、写真の原理を使って文字組をする技術です。写植機は、手動から自動・電算写植機へと変化を遂げてきました。
マンガ翻訳における写植は、日本語以外の言語で読む読者がより読みやすい配置や文字数などを考慮して、言語に合ったフォントを選び貼り付ける作業です。
フォントが変わるとセリフのイメージも変わるため、フォントの選択はシーンのイメージを大きく左右します。シーンやキャラクターに合わせたフォント選びは、シーンや作品の世界観に因るところが大きいため、フォントを通じて作品イメージが創り上げられるともいえます。
海外のマンガ人気と翻訳における写植の意義
マンガ翻訳における写植では、ローカリゼーションと密接な関連があります。翻訳言語におけるセリフに最適な写植が、マンガ翻訳では欠かせません。日本語では縦書きだったのを英語では横書きにしてフォントを変えるなどもよい例でしょう。フォントの効果、吹き出しやコマの大きさや形なども言語によって変わる可能性もあるため、同じマンガでも、翻訳言語によって写植ががらりと変わる可能性もあります。
また、ローカリゼーションを行う際に、宗教や文化・習慣的理由などから、文字入れ以外に作画を変更する必要性が出た場合の工程も、写植と呼ばれることがあります。
このように、マンガ翻訳における写植は、文化・習慣の異なる対象言語の地域で、よりマンガを楽しめるようにするために欠かせない工程なのです。
マンガ翻訳における写植の依頼のポイント
マンガ翻訳では、まずは翻訳精度に満足できることが前提です。誤訳や意味の取れない翻訳では、どんなに写植がうまくいっても作品としてのレベルを下げてしまいます。しかし、翻訳がいかに素晴らしくても、写植の技術がないとマンガとしての価値は下がってしまいます。そのため、精度の高い翻訳ができて、かつ写植の技術があるサービスを選ぶ必要があります。
また、ローカリゼーションなどで現地向けの最適化ができるサービスを選ぶと安心です。エンタメ関連翻訳の実績があるサービスを選ぶと、世界観やキャラクターに合わせた翻訳にも対応してくれるでしょう。
十印の翻訳・写植サービス
常にお客様にベストな翻訳を目指す十印では、幅広い言語での翻訳を写植まで含まてご提供しています。これまでのマンガ翻訳でのお悩みや、マンガ翻訳に関するご質問やご相談も承ります。
ヒアリングでお客様の伝えたいメッセージを受け止め、十印のノウハウと技術力で、質の高い翻訳・写植サービスをご提案します。
十印のローカライズサービスは、マンガの世界観を伝え、ターゲット顧客層向けに特化した翻訳で心を掴み、マンガのマーケティング効果を高めます。
マンガのグローバル市場での成功には、ぜひ十印のエンタメ翻訳サービスをご検討ください。
まとめ
十印では、半世紀にわたる翻訳に関する経験とノウハウで、作品・サービスの特徴やイメージに合わせ、言葉や文化の壁を乗り越えた翻訳を行っています。地域向け最適化であるローカリゼーション、作品のストーリーや世界観を伝えるトランスクリエーションなど、幅広い翻訳技術で、世界を舞台にしたビジネスでの成功をお手伝いします。
ターゲット顧客やエリア・商材に合わせた翻訳はもちろん、現地向けに最適化された理解されやすいローカリゼーション、メッセージの伝わるトランスクリエーション等、顧客満足度を高める翻訳は、経験豊富で技術力のある十印だからこそです。
顧客満足度の高い高品質なマンガ翻訳なら、どうぞお気軽に十印にお問い合わせください。
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▶著者紹介
株式会社十印 マーケティング部
石川弘美
1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。
