特許庁の特許情報における機械翻訳活用の取り組みについて
機械翻訳の技術は急速に進歩しており、ひと昔前とは比べ物にならないほど高い精度での翻訳が可能になりました。多くの企業が翻訳業務に機械翻訳を利用しているのはもちろんのこと、特許庁でも機械翻訳を活用しています。
ここでは、特許庁による機械翻訳の活用および機械翻訳を利用するメリットについてご紹介します。
グローバル化に伴い増加する特許出願件数
現在はどの業界においてもグローバル化が進んでおり、この流れに伴って特許出願件数も増加しています。とくに中国での特許出願件数は急激に伸びており、日本にとっても他国での特許文献の内容を理解することがより重要になっているといえるでしょう。
しかし、膨大な数の特許文献を人手翻訳で対応すると時間とコストがかかるため、どうしても限界があります。そこで注目されたのが、機械翻訳です。機械翻訳を活用することで時間面やコスト面での問題を解消することができ、リソース不足の解決にもつながります。人手翻訳と比べ、多くのメリットがあるといえるでしょう。
特許電子図書館(IPDL)と高度財産産業ネットワーク(AIPN2)における機械翻訳の利用
このような背景から、特許庁では2000年5月から特許電子図書館(IPDL)において、2004年10月からは高度財産産業ネットワーク(AIPN2)において機械翻訳の活用を開始しました。特許電子図書館(IPDL)では、特許や実用新案、意匠公報のテキスト部分に関して英語で読むことが可能です。また高度財産産業ネットワーク(AIPN2)では、利用できるのは外国特許庁のみであるものの、特許庁の審査情報について英語で発信されています。
日本語から英語への機械翻訳の精度は当時から高いものでしたが、特許庁では辞書の増強を行うことによってさらなる質の向上を目指してきました。機械翻訳を利用したときに正しく翻訳できなかった単語を辞書に登録する取り組みを行っており、利用者からの翻訳に対するフィードバックも反映させています。
さらに2009年には翻訳エンジンのバージョンアップが行われ、知的財産権用語などをはじめとした専門用語や翻訳用例が増強されました。現在では、機械翻訳の評価に用いられるBLEU値でも高いスコアが出る精度の高さになっています。
外国特許庁での機械翻訳の利用
機械翻訳を活用しているのは日本だけではなく、外国特許庁も同様です。自国の特許情報を英語で発信することは知的財産権を守ることにつながるため、多くの国が機械翻訳を利用して特許に関する情報を英語で発信しています。
例えばヨーロッパ特許庁では、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語の4カ国語について機械翻訳を利用して英語に訳しています。また、中国国家知識産権局と韓国特許庁ではそれぞれ中国語、韓国語で書かれた情報を英語で提供しています。
このように機械翻訳は英語に訳すために利用されることが多いですが、その逆の活用方法も考えられます。例えば、他の国の言語を母国語に訳せば国民に特許情報を提供することができます。実際に、ヨーロッパ特許庁ではヨーロッパ言語、日本語、中国語、韓国語、ロシア語の計32カ国語間での言語障壁の解消に取り組んでいるようです。
特許庁とNICTが機械翻訳の精度向上に向けて提携
国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)と特許庁は特許文献の機械翻訳の精度向上及び活用促進の協力を進める為に、対訳コーパスや翻訳エンジンの作成、機械翻訳分野の研究者等との連携、機械翻訳を用いた検索環境の検証をおこないました。その結果、大規模な特許庁の対訳データが構築され、NICTではこれを基に特許専用の機械翻訳エンジンを作成しています。
十印の機械翻訳ツール「T-tact AN-ZIN®」はNICTから提供されたこの特許専用の機械翻訳エンジンを搭載しています。特許庁のデータベースで学習しているため、特許の翻訳には高い威力を発揮します。
機械翻訳の導入なら十印にご相談ください
機械翻訳の精度は非常に高くなっており、今では特許庁が活用するほどになっています。人手の翻訳では時間とコストがかかる翻訳作業も、機械翻訳を利用することで効率的に行うことができます。グローバル化が進んでいる昨今では、機械翻訳はなくてはならないものだといえるのではないでしょうか。
十印がご提供する「T-tact AN-ZIN®」では、この特許庁のデータで学習した「特許翻訳エンジン」以外にも、契約書の翻訳に高い精度を誇る「リーガルエンジン」やディスクロージャー分野で役立つ「金融エンジン」など、様々な分野ごとのエンジンを搭載しています。
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