英語ライティング指導における機械翻訳の利用について
近年の機械翻訳の精度はひと昔前に比べて大幅に向上しており、以前よりも様々なシーンで利用されるようになりました。そして、教育分野においても機械翻訳は注目されています。ここでは、英語ライティング指導における機械翻訳の利用についてまとめました。
英語ライティングの必要性は高まっている
世界でグローバル化が進行している昨今では、英語の重要性はますます高まっているといえます。実際に社会に出たときに、英語ライティングが必要になる可能性は非常に高いといえるでしょう。
例えば、海外の会社と取引を行う際には英文メールや英文チャットが必要になります。素早く正しい英文で返答することで、取引先とよい関係を築きやすくなるといえるでしょう。グローバルで活躍できる人材を育てるためには、効率的な英語ライティング指導が重要だといえるのではないでしょうか。
機械翻訳を利用した英語ライティング指導方法
機械翻訳を利用した英語ライティング指導方法は、主に「プレエディット(前編集)」と「ポストエディット(後編集)」の2つに分けられます。
プレエディットとは、機械翻訳で日本語を英語に翻訳する前に日本語を編集する作業のことをいいます。機械翻訳の特性上、原文のままの日本語だと誤訳が多くなります。それを避けるために必要な作業が前編集であり、これを行うことによって日本語と英語の違いを理解できるようになります。また、英語ライティングに必要な発想の転換の練習にもなるといえるでしょう。
ポストエディットとは、機械翻訳の訳文の間違いを修正する作業のことをいいます。英語の文法や語法の理解度を確認するよい機会になるといえるでしょう。なお、後編集を行うためには前編集以上の英語知識が必要となります。そのため、英語中級者向けの学習方法だといえるでしょう。
機械翻訳を利用して成果が出た実例
すでに機械翻訳を英語ライティング指導に取り入れている教育機関もあり、そのうちの1つが香川高等専門学校詫間キャンパスです。香川高等専門学校詫間キャンパスでは、平成25年に株式会社ベネッセコーポレーションが提供しているGTECという英語検定を導入しました。
GTECのライティング結果をみると、英語ライティング指導に機械翻訳を導入する前のスコアは1年生で85.3点、2年生で74.0点でした。どちらも全国平均と比べると低く、とくに2年生においては30点ほどの差があります。
しかし、機械翻訳導入後の平均スコアは1年生では7~8点、2年生では26点以上向上しました。その後も導入前よりも高いスコアを維持しており、全体として生徒の英語ライティング力が上がっていることが分かります。このことから、機械翻訳を利用した英語ライティング指導の効果が出たと推測できるといえるでしょう。
機械翻訳で効果が出た理由として、英語ライティングに対する心理的ハードルが下がったということが挙げられます。英語力が不十分な生徒にとって、英語ライティングは非常に難しいタスクに感じられます。しかし、機械翻訳の助けを借りることによって英語が苦手な生徒も学習に取り組みやすくなったといえるでしょう。
また学生が機械翻訳を利用することで添削量が少なくなるため、教員はより多くの時間を指導にあてることができます。生徒により多くの課題を出すことも可能です。このことも、スコアアップが実現した理由の1つだと考えられます。
このように、機械翻訳を利用して成果が出た実例はすでに存在します。指導方法が今よりも確立されれば、さらに高い結果も期待できるといえるのではないでしょうか。
今後は機械翻訳を利用した指導が広まる可能性も
実際に機械翻訳を利用した指導で試験のスコアが上がった例があるとはいえ、英語ライティングへの機械翻訳への導入を躊躇する声はまだまだあります。その理由としては、機械翻訳を利用した翻訳結果が不正確である可能性があること、学生に機械翻訳を正しく活用させることが困難であること、簡単に訳出できることで学習意欲を削ぐ恐れがあることなどがあります。
しかし、機械翻訳は学生の英語に対する苦手意識の払拭や効率的な学習に役立ちます。また、社会に出て英語ライティングが必要になった際には機械翻訳を利用することになるため、学生のうちから慣れさせておく必要があるという意見もあります。
全体としては、積極的に機械翻訳を活用する流れがあるといるでしょう。今後は、機械翻訳を利用した指導がさらに広まっていく可能性が高いといえるのではないでしょうか。
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機械翻訳は広い分野で活用されており、それは教育分野においても同様です。数年後には、機械翻訳を利用した英語ライティング指導が当たり前になるかもしれません。
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