ドキュメントへの機械翻訳導入事例。ソフトウェア企業が目指す機械翻訳の活用の道とは?
ITの世界には国境はありません。そこで、ソフトウェアの売上げを伸ばしていくためにはグローバルに展開する必要があります。その際に課題となってくるのがローカライズの問題です。ソフトウェアには、マニュアルやオンラインヘルプのほか、PC画面上での表示など、様々なドキュメントが存在します。
それらのドキュメントは、ソフトウェアを開発した国の言語を使用して表示されています。グローバルに展開していくためには、開発した国の言語とは異なる言語でも表示できるようにしなければいけません。
ここでは、多くのソフトウェアをリリースしているとあるアメリカの企業の日本支社を一例に取り、その企業が機械翻訳を導入し展開しているローカライズ事例をご紹介します。
ドキュメント翻訳に対して機械翻訳の導入を目指す
オープンソースソフトウェアを元にしたビジネスを展開しているアメリカのソフトウェア企業には、ローカライズを担当するチームが2つ存在していました。そのどちらのチームも、各言語のネイティブスピーカーを集めやすいオーストラリアに拠点が置かれていました。
そのため、日本支社には翻訳者があまり在籍しておらず、技術サポートや営業担当者が自らドキュメントを翻訳せざるを得ませんでした。また、アメリカの担当者が日本文へ機械翻訳したドキュメントを、ポストエディットせずそのまま使用したことで問題になるといったことも発生していました。
その状況を改善するために、日本にもローカライゼーションチームが立ち上がり機械翻訳も活用されるようになったのです。
全面的なライトポストエディットの導入
同社がリリースしているメインのソフトウェアがバージョンアップする際には、英語のドキュメントを制作するライティングチームは増員されて、毎月かなりの量が追加公開されます。
しかし、日本のローカライゼーションチームは少人数で対応しているため、ソフトウェアの一般公開日には一部のドキュメントだけをローカライズし、その後に残りを少しずつローカライズするといった方法を採っていました。そのため、「読みたいのに日本語のドキュメントがない」「日本語のドキュメントが古い」という指摘をされることもあったのです。
そこでその日本支社のローカライゼーションチームに機械翻訳を導入し、まずはライトポストエディットで、その企業の主力ソフトウェアの全ドキュメントをローカライズするという方法を採るようにしました。ただし、機械翻訳の品質は以前と比べると飛躍的に向上はしていましたが、まだそれでも十分とはいえず、翻訳者による再翻訳は必須となっていました。
ほどなくして、機械翻訳自体の品質がさらに向上してきたのと同時に、機械翻訳とポストエディットに対するノウハウもローカライゼーションチームの中に蓄積してきたことで、効率的にローカライズ作業できるようになったのです。
翻訳者が作業しやすい環境を整備することで翻訳の効率化を目指す
その後は、主力ソフトウェアの関連製品で新たな試みが行われました。機械翻訳したドキュメントに対してシステマティックな後修正をかけてからライトポストエディットを行った上で、その日本語ドキュメントは迅速に公開するといった方法です。
このような新たな試みは、前回の試みと比べ、スクリプト(簡易なコンピュータプログラム)などを多用し翻訳者が作業しやすい環境を整備することで、翻訳の効率化を目指したという違いがありました。具体的には、機械翻訳の「クセ」をスクリプトなどで自動修正あるいは検出。検出された、その「クセ」を翻訳者が修正し、最後に大きな間違いが残っていないかを自動検出して確認するといった一連の流れによる翻訳作業効率化です。
この方式を採用したことにより、ライトポストエディットでも翻訳品質を飛躍的に向上させることができています。同社の日本支社では今後、機械翻訳エンジンを効果的に学習させ、複数の機械翻訳エンジンを使い分けることも視野に入れているということです。
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サービスや製品のグローバル化が進んでいる昨今では、ドキュメント翻訳へのニーズは急増しています。しかし、そのドキュメントを翻訳する際の悩みをかかえている企業が多いということもまた事実です。中でも、品質についての悩みはとくに多いといえるでしょう。
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