2021.12.10

国際標準のポストエディターには何が求められる?必要とされる素養と専門的知識について解説

ニューラル機械翻訳の精度向上により、機械翻訳導入を検討する企業も増えています。このような状況下でポストエディットの重要性は増すばかりですが、ポストエディター教育については、いまだ手探りの状態にあります。

ここでは、国際標準のポストエディターに求められる素養と専門的知識についてご紹介します。

ポストエディターに求められていること

機械翻訳した後の訳文には、専門用語が適切に使用できていない場合や、思わぬ誤訳がされている場合もあります。それを正しい翻訳へと修正する作業のことをポストエディット、ポストエディットを行う翻訳者のことをポストエディターと呼ばれています。

「ポストエディットは機械翻訳された文章の間違えた箇所を修正していくだけ」というイメージを持たれるからか、「翻訳者志望の学生がアルバイトで行っているのだろう」と思うかもしれません。しかし、ポストエディット作業は翻訳の経験によって培われた翻訳力が求められるため、プロの翻訳者でも難易度が高い仕事です。ポストエディターは決して翻訳者の下請け仕事ではなく、仕事のラインナップのひとつとして翻訳と同じレベルにあるといえます。

ポストエディターのベースラインは翻訳の国際規格ISO17100を取得していること

国際標準のポストエディターに求められる素養と専門的知識を考えたとき、産業翻訳に関する業務プロセスの標準化を規定している国際規格ISO17100を取得していることがベースラインになります。

ただし、ISO 17100ではポストエディットを範囲外としています。そこで2017年4月には、ポストエディットの国際規格ISO18587がリリースされています。ポストエディットの業務プロセスについては、このISO18587で別途規定されています。

そこで、ISO17100とISO18587を見比べてみます。ISO17100では、人が翻訳した後に、翻訳者と同等の有資格者がバイリンガルチェック(原文と訳文を見比べて行う品質チェック)が義務づけられています。それに対してISO 18587では、ポストエディットの場合には、顧客と合意したときだけバイリンガルチェックが必要とされており、バイリンガルチェック自体は任意となっています。

■ポストエディットの国際規格ISO18587では5技能も求められる

ISO18587で規定されているポストエディターに対する資格についてですが、ISO17100で規定されている翻訳者の資格とほぼ同じになっています。具体的には、ポストエディターは次のうち1つ以上の項目を満たしていなければならないとISO18587では規定されています。

・翻訳、言語学、言語研究もしくは翻訳訓練を伴ったそれ相当の学位を取得している者
・翻訳関連以外の学位と2年の翻訳もしくはポストエディット経験を有する者
・5 年以上の翻訳もしくはポストエディット経験のある者

このような項目は、ISO17100で規定されているプロ翻訳者の資格とほぼ同じです。しかしISO18587では、ポストエディターには以下の5技能も備わっていることを規定しています。

・翻訳力
・起点言語および目標言語における言語・テキストに関する能力
・調査・情報収集・情報処理の能力
・文化に関する能力
・テクノロジーに関する能力
・専門分野の能力

これらに加えて、「合意した契約や仕様要求に従って翻訳できる能力」を持っていることも求められています。

機械翻訳など、さらなる専門知識も必要

さらなる高度な知識を持っていると、ポストエディターとして評価されるようになります。ISO18587には、以下の項目が付加すべき専門知識として書かれています。

・機械翻訳技術および機械翻訳エンジンが出力する典型的なエラーに対する一般的知識
・CAT ツールに関する一般的知識
・生産性および作業負荷の観点に鑑みて、機械翻訳の出力結果をポストエディットすることの妥当性を判断できる知識及び能力
・作業指示(instructions)に従う能力および特定のエラーに焦点をあてて、決められたとおりに修正を行う能力

まとめ

国際表標準のポストエディターに求められている能力は、ISO17100とほぼ同じ内容であり、欧州翻訳大学院の翻訳者養成ガイドラインである「欧州共通翻訳修士号(EMT)」が推奨する内容と同等です。ただし、機械翻訳に関する専門知識も持っている必要があるので、ISO17100 よりも多くのことが求められているといえます。

さらに、ポストエディットの特殊な要求に従う柔軟性も必要ですので、これまでの翻訳者資格よりも要求水準が高いといえるのではないでしょうか。

ここまで、国際標準のポストエディターに必要とされる素養と専門的知識についてご説明してきました。ポストエディターには翻訳に関する国際規格ISO17100がベースラインとして求められ、ポストエディットに関する国際規格ISO18587ではさらなる専門知識も求められます。

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