2022.03.15

機械翻訳方法の選び方~目的別選択~

近年、機械翻訳の利用者は伸び続け、誰もが簡単に利用できるようになりました。無料で利用できるウェブ翻訳機能の数も増え、質も以前と比べ驚くほど向上しています。自動翻訳機能は、まだまだ全ての翻訳に使えるというわけではありませんが、年々精度は高くなっています。
今回は、上手に機械翻訳を利用するために、機械翻訳方法の種類と、目的別に翻訳方法の特徴やメリットを活かせる翻訳の仕方についてご紹介します。

無料機械翻訳は万能?

機械翻訳といっても、様々な機械翻訳があります。入力言語と出力言語との文法的差異が大きければ、翻訳の際に、ある程度の情報の喪失やひずみが生じるのは、仕方のないことです。特に無料の機械翻訳は、文学や専門分野に関しては、まだまだ改善の余地があると考えられています。
無料機械翻訳では、その他の分野でも、誤訳や目標言語としての不自然さ、時には意味が取れないなど、翻訳としては不完全である可能性があります。そのため、無料の機械翻訳を利用する際はツールの特性を踏まえて利用する、正確さが必要な場合は専門の翻訳会社に依頼するなど、目的に合わせた翻訳方法の選択が必要です。

機械翻訳:3つの手法の比較

機械翻訳には、一般的に、ルールベース型と統計ベース型と呼ばれる2つの方式が使われてきました。これらの方式は、それぞれにメリットとデメリットがあります。近年では、さらに精度の高い翻訳を可能としたニューラル機械翻訳と呼ばれるAIを使った新しい翻訳方法も出回っています。

こちらでは、3つの翻訳方法の特徴を順番に見ていきましょう。

●ルールベース型機械翻訳
ルールベース型は、登録したルールに基づき構文を翻訳していく方式です。文法を「アルゴリズム」によって教え、「コーパス」と呼ばれる言語データベースを辞書のように使う手法です。文節レベルで文章を分析して、原語と訳語の文法と照らし合わせ、コーパスから適切な訳語を見つけ出し、文法に則って訳していきます。
ルールベース型機械翻訳は、文法に合わない文章は正確に翻訳できない、既存のものを使う場合には、ユーザー側でルール変更ができないなどがデメリットです。しかし、過去の対訳データがなくても翻訳ができるというメリットがあります。

●統計ベース型機械翻訳
統計ベース型は、予め登録された「コーパス」と呼ばれる膨大な量の対訳学習データに基づき、統計的手法で訳語を抽出する方式です。「翻訳モデル」と「言語モデル」の2つの統計モデルを元に翻訳するため、学習データと分野が合えば、高い精度の翻訳が可能であるというメリットがあります。しかし、学習データが分野に合っていない場合や、入力言語と出力言語との文法的差異が大きい場合は、翻訳の精度が落ちるというデメリットがあります。

●AIを使ったニューラル機械翻訳
近年では、ニューラル機械翻訳と呼ばれる、AIのディープラーニングを使った翻訳が出現し、機械翻訳の精度が飛躍的に向上しました。ニューラル機械翻訳は、今までの機械翻訳とは違い、単なるデータのインプットとアウトプットではありません。人間が聞いた言葉を、すでに覚えていた言葉と結び付けて認識するように、インプットされたデータを、ネットワーク上の情報と結び付けて認識します。まるで、人間の脳内にある「ニューロン」のような仕組みを使った翻訳方法であるため、「ニューラル翻訳」と呼ばれています。

ニューラル翻訳の詳しい仕組みについてはこちらをご覧ください。

機械翻訳方法ごと目的別特徴の活かし方

ルールベース型機械翻訳は、定められた文法と変換規則のルールに沿っていれば、高精度の翻訳が可能です。そのため、マニュアルや公文書など、定型文が多く、比較的少ないルールでも対応できる文書に適しています。

統計ベース型機械翻訳は、新聞、マニュアル、特許などの公文書などに、多く使われています。また、対訳データがあれば、多言語翻訳が容易に実現できるため、複数言語への翻訳に向いています。

機械翻訳の中でも歴史の浅い、ニューラル翻訳と呼ばれるAIを使った翻訳ツールは、既存の機械翻訳を上回る精度での翻訳が可能です。多岐にわたる分野で対応できるため、専門分野に特化した翻訳でも対応可能です。また、多言語翻訳にも対応しやすく、複数言語への翻訳でも利用しやすい方法です。

●翻訳方法ごとのメリットデメリット
機械翻訳は、翻訳方法によってそれぞれにメリットとデメリットがあります。機械翻訳の利用で共通したメリットは、翻訳にかかる時間の短縮と、導入コストの低さが挙げられます。また、一度導入すれば、手軽に利用できることも、機械翻訳のメリットです。

国産の機械翻訳であれば、特許、医薬、IT関連の分野では、需要が多いため、すでに精度は高くなっています。とりわけ、ニューラル翻訳は、TOEIC900点以上の訳文の生成も可能とされているため、大幅に翻訳時間を短縮することが可能となりました。

十印でも、AI翻訳ツール「T-tact AN-ZIN」を使った、高精度のAI翻訳エンジンを使った翻訳を提供しています。詳しくは、こちらをご覧ください。

まとめ

機械翻訳は、目的に合わせて、使用環境や翻訳資産の利用、翻訳支援ツールとの組み合わせなどにより、高品質で自然な目標言語への翻訳が可能となります。

十印では、1980年代より機械翻訳を積極的に活用しています。機械翻訳の質の高さには自信を持っており、今まで多くのお客様に喜んでいただいております。お客様のご希望に沿い、最適な翻訳方法の選定を含め、プレエディットやポストテディトまで、トータルサポートの翻訳サービスのご提案しておりますので、初めて機械翻訳をご利用の場合でも安心してご利用いただけます。

■機械翻訳のご利用をご検討の際には、こちらからお願いします。

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