2024.05.10

ポストエディットで機械翻訳を最大限に活用する

近年のビジネスのグローバル化による翻訳機会の増加と共に機械翻訳の利用が増え、ポストエディットの需要が高まっています。

機械翻訳の精度が上がっている近年でも、翻訳ツールによっては品質が十分でなかったり、専門分野ではうまく翻訳できなかったりといった問題のあるケースもあり、やはり機械翻訳は使えないと利用をあきらめているご担当者も多いのではないでしょうか。

本稿では、機械翻訳を最大限に活用するために、ポストエディットとは何か、どのように利用するのが正解なのか、ポストエディットの可能性について解説していきます。

ポストエディットとは?

ポストエディットは、AI翻訳ツールをはじめとした機械翻訳の翻訳結果の修正および最適化です。現在の機械翻訳は内容によっては手直しがほぼ必要ないケースから、大きく修正しなければならないレベルまで様々です。ポストエディットは、手直しがほぼなければ大きな時間の短縮になりますが、専門分野の特化エンジンがない、機械翻訳の精度が低いなどの理由で大幅な手直しが必要であれば、時間もコストも翻訳と変わらなくなってしまいます。

近年の機械翻訳の進化は目覚ましいものがあり、AI翻訳ツールなどでは一部修正が必要ない場合もあるほど高品質な翻訳が可能になっています。しかし、時には誤訳や訳抜けといった問題が出てくるのも機械翻訳の特徴です。そこで、機械翻訳独特の翻訳の癖を知り、機械翻訳後のポストエディットの利用で、機械翻訳の最大のメリットである翻訳時間の短縮を行うにはどのようにすればよいのかを見ていきましょう。

ポストエディットと翻訳の違いとは?

ポストエディットと人の手による翻訳の一番の違いはプロセスです。人が翻訳する際は、原文から直接翻訳しますが、ポストエディットでは機械翻訳の生成した訳文を人がチェック修正します。このように、ポストエディットも翻訳も別の言語に翻訳するという目的は同じですが、異なるプロセスを経て最終目的に到達するところが違いです。

ポストエディットには、フルポストエディットとライトポストエディットの2種類に分けられることが一般的です。フルポストエディットが翻訳とほぼ変わらない精度を要求されるのに対し、ライトポストエディットはそこまでの精度は求められません。このように、求められる翻訳精度へと修正するポストエディットですが、時間と精度のどちらを優先するのか選べるところも特徴です。

ポストエディットの役割

ポストエディットの役割は、機械翻訳の生成した訳文の精度の向上です。

機械翻訳とポストエディットの組み合わせは、翻訳よりもかなりスピーディーな翻訳が可能になると思われがちですが、求められる品質によっては、翻訳と同じぐらいの時間がかかる場合もあります。そのため、品質よりも時間とコストを優先するのであればライトポストエディットで意味が伝わればよいレベルの手直し、ある程度のスピードと内容重視の場合はフルポストエディットで品質を上げるというように使い分けをするとよいでしょう。ポストエディットの使い分けで、機械翻訳の最大のメリットであるスピードを活かした翻訳作業が可能になります。

ポストエディットの上手な使い方

ポストエディットを使って機械翻訳の最大のメリットであるスピーディーな翻訳するには、次の3つのポイントが大切です。

・ポストエディットに時間がかかり過ぎないように高性能な機械翻訳ツールを使う
・専門分野に特化したエンジンを選ぶ
・ポストエディットのスキルのある担当者がいるサービスを利用する

また、機械翻訳ツールを利用する前の原文に関するプリエディットも、機械翻訳の結果に影響を与えます。生成された翻訳の精度によってポストエディットにかかる時間が変化するため、プリエディットの工程も重要です。例えば、文のねじれを直す、長文は短く切る、主語は省略しない、コンテクストを明らかにするなどの工夫で訳出される文章の精度が上がり、ポストエディットの時間短縮に貢献し、スピーディーな翻訳へとつながります。

十印のポストエディット

十印では、お客様のご要望に合わせ、ライトポストエディットからフルポストエディットまで、高い翻訳・ポストエディットの知識を持った経験豊富なポストエディターが、機械翻訳の訳文の最適化を迅速に行います。

ポストエディットの国際標準規格ISO18587に基づく高品質なフルポストエディットサービスで、AI翻訳による訳文の精度を高め、信頼性の高い翻訳をお届けします。

十印では「特許・特許請求項」「半導体」「金融」「リーガル(契約書)」の特化エンジンをご提案しています。専門分野に特化したエンジンのご利用と、専門知識のある翻訳者による国際規格に裏付けられた高品質な翻訳で、お客様の翻訳作業をサポートし、グローバル時代の翻訳業務の効率化をお手伝いします。

まとめ

十印では、各種翻訳、ポストエディットなど、歴史ある翻訳会社ならではの翻訳のプロによるトータル翻訳サービスを提供しています。高品質なポストエディットサービスをご検討中なら、是非、十印にお問い合わせください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。                   
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

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