半導体産業のグローバル性と翻訳の重要性
近年、世界のEV(電気自動車)への転換、コロナ禍におけるPCやスマホの需要増などによるITテクノロジーの需要の急増など、複合的な理由により半導体が足りないという事態が起きました。
半導体産業は国際取引が前提で、政治的思惑や経済安全保障に国策として輸出管理や投資に関する規制を発表するなど、グローバル性の高さも特徴です。
半導体バブルは終わったとはいえ、グローバル主要メーカーによる大規模生産工場建設計画が相次ぎ、先端装置の導入に関する翻訳機会も増えています。
本稿では、グローバルな半導体産業における翻訳の重要性について解説します。
半導体市場の近年の動向と見通し
半導体市場は、2019年まで減少傾向でしたが、2020年より増加に転じ、2021年は販売金額、個数共に大幅に増加しました。
経済産業省の生産動態統計によれば、2021年の半導体集積回路の販売個数は12.2%増の285.9億個、販売金額は前年比16.0%増で2兆4,090億円となっています。
2022年には、FA機器や携帯電話基地局、データセンター向けなどの需要が拡大しました。自動車向けでは、1台当たりの半導体搭載金額のアップと円安による為替差益から、収益性が向上しています。
半導体市場統計(WSTS)*によると、2020年以降増加傾向にあった半導体市場は、2022年半ばに需要が落ち込みました。
2023年にはウェハファブ装置、半導体テスト装置、組み立て・パッケージング装置のすべてにおいて落ち込みが見られるものの、2024年には回復すると予想されます。WSTS(世界半導体市場統計)とGartnerは、いずれも前年比2桁成長で過去最大になるとの見通しを発表しました。
参照:統計表一覧(経済産業省生産動態統計)|経済産業省生産動態統計(METI/経済産業省)
*SEMI (2022年12月13日付プレス発表資料)
各国の半導体産業強化と市場拡大への意欲
2023年は、半導体市場および半導体関連設備投資は一時的に落ち込みました。しかし、主要国および地域では、巨額の予算を投じて自国の半導体産業の強化に力を入れています。日本も含めて各国・各地域では、半導体産業強化策として様々な政策を打ち出して支援を行っており、今後もこの流れは続くと見られています。これは、中長期的な市場拡大を見据えた、半導体の安全確保のためであると考えられるでしょう。
また、グローバル企業の誘致にも主要国および地域は力を入れており、今後はエンジニアを中心とする人材不足になる可能性が高くなっています。人材不足が半導体の工場稼働の遅れへとつながるリスクもあるため、人材の確保・育成が急務です。
半導体のグローバル性
半導体は、グローバル性のある製品として、世界中の様々な国・地域で取引が行われています。そのため、世界中の半導体メーカーは生産も含めてグローバルな市場展開をしています。近年ではグローバル企業の誘致に各国が支援を本格化しており、生産拠点を海外に移す企業も増えています。
日本は、経済産業省指導の「半導体・デジタル産業戦略」で、国として半導体産業の発展に力を入れています。国内の半導体メーカーが国の支援のもと最先端半導体の国産化を目指す動きも見られ、海外からノウハウや人材が集まっている傾向にあります。
このように、半導体は生産から販売におけるすべての工程において国際的であり、翻訳が欠かせない分野でもあります。
半導体の翻訳の重要性と翻訳会社の選び方
半導体業界では、たとえ日本の企業であったとしても、海外工場、開発・製造・検査でのノウハウの継承、グローバルな技術者の育成など、すべてにおいて国際的であることも珍しくありません。グローバル人材が豊富な企業でも、貴重なグローバル人材には翻訳以外の業務をしてもらいたいというのが本音でしょう。
国際競争で生き残るためには、クオリティの高い翻訳を迅速に行う必要性があります。近年の半導体業界における人材不足から、翻訳業務は外注するのが一般的でしょう。
しかし、翻訳会社ならばどこでもよいというわけでもありません。なぜなら、半導体翻訳が専門でないと質の高い翻訳ができないからです。半導体市場はグローバルなマーケットという特徴から、取引に関するやり取り、通関手続き、特許申請など翻訳が至るところで必要になります。そのため、翻訳を依頼するには、すべてに精通している翻訳者がいる翻訳会社への依頼が大切です。
また、半導体は機密性のある製品であるため、セキュリティ管理体制やコンプライアンス・個人情報管理などが整った、信頼できる翻訳会社を選ぶことが大切です。
十印の半導体翻訳サービス
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まとめ
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▶著者紹介
株式会社十印 マーケティング部
石川弘美
1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。