2024.04.15

ポストエディットを機械翻訳後に使うメリット

AI翻訳をはじめとした機械翻訳の精度は、近年飛躍的に向上しています。しかし、現時点では機械翻訳は完璧ではないため、生成された訳文を人間の手によって向上させるポストエディットを行い、翻訳を完成させるという翻訳手法が取られています。

ポストエディットとは何なのか、ポストエディットを使うメリットは何なのか、人の手による翻訳と何が違うのか、気になるご担当者様も多いのではないでしょうか。

本稿では、ポストエディットとは何か、ポストエディットを機械翻訳後に行うメリットについて解説します。

ポストエディットとは?

ポストエディットは、AI翻訳ツールをはじめとする機械翻訳によって訳出された訳文を人がチェックし、誤訳や訳抜けなどがないか、コンテクストに合っているかどうかを確認し、手直しする工程です。近年では、機械翻訳ツールの精度が向上しているため、翻訳データがそろっていればほとんど手直しが必要ないケースもあります。しかし、コンテクストに合っていないための誤訳、訳抜けがあるといったケースでは、人が追加・修正を行う必要があります。このように、目的に合った翻訳結果となるように機械翻訳の訳文に手を加え、最終的な翻訳とする工程がポストエディットと呼ばれます。

ポストエディットを使える文書・不向きな文書

機械翻訳後にポストエディットを行うことが、全ての文書に適しているわけではありません。こちらでは、機械翻訳後にポストエディットを行うことが向いているかどうかの例を挙げてみましょう。

向いている文書
・ 文法的に正しく一文が短い
・ 文化的背景などを考慮に入れる必要がない
・ コンテクストに関わらず訳せるまたは他の情報源がある
・ 一定の専門分野独特の定型文・専門用語を利用している
・ 十分な翻訳データがある

向いていない文書
・ 文法に間違いがあり長文
・ 文化的背景などを考慮したローカリゼーションが必要
・ コンテクストの理解が必要であるが補うための情報源がない
・ クリエイティブ要素が高い(詩・小説・コピーなど)
・ 専門分野独特の専門用語や言い回しを利用している(専門エンジンで翻訳していない)

ポストエディットの向き不向きは、機械翻訳で精度の高い翻訳ができるかどうかに左右されます。なぜなら、機械翻訳の精度が高ければポストエディットが簡単に終わるのに対し、翻訳精度の低い訳文や手直しの量が多すぎる翻訳結果ではポストエディットに時間がかかりすぎ、最終的に人手による翻訳と時間的に変わらなくなってしまう可能性が高いからです。

ポストエディットのメリットデメリット

ポストエディットは、機械翻訳後の工程です。機械翻訳とポストエディットを組み合わせて翻訳するメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット
・ 機械翻訳の利用で必要な部分のみポストエディットで手直しを行うため、翻訳時間の短縮ができる
・ 機械翻訳はスピーディーに翻訳できるため、全て人手による翻訳と比べ作業効率が上がる
・ 目的・納期に合わせて仕上がりの精度・作業時間を柔軟に決められる

デメリット
・ 苦手分野、訳抜けなど機械翻訳の特性を知る必要がある
・ 訳出された翻訳精度が低いと手間と時間がかかり過ぎ、ポストエディットのメリットであるはずの時間の節約にならない
・ フルポストエディットとライトポストエディットをはじめとする仕上げレベルを設定する手間がかかる

このように、機械翻訳後にポストエディットを利用する際は、メリットとデメリットを理解し、人手による翻訳とどちらを利用したほうがよいのかを見極めるとよいでしょう。

ポストエディットの国際規格「ISO18587」

ポストエディットには、「ISO18587」と呼ばれる国際標準規格があります。2017年4月にリリースされており、比較的新しい規格です。

2015年に翻訳の品質を保証するための国際規格「ISO17100」が定められましたが、機械翻訳の導入が増えると共に、ポストエディットの規格の必要性が叫ばれるようになり、「ISO18587」が登場しました。

ポストエディットを行うには、翻訳者としての能力・経験と資格があれば規定は特にないのですが、実際は機械翻訳のポストエディットについての知識が欠かせません。

ポストエディットを依頼する際は、「ISO17100」適合の認定を受けている翻訳サービス提供者かつ、「ISO18587」でも供給者適合宣言をしており、ポストエディットの経験者がいるかどうかを確認すると間違いないでしょう。

十印のポストエディット

十印は「ISO17100」適合の認定を受けており、お客様のご要望に合わせてライトポストエディットからフルポストエディットまで、高い翻訳・ポストエディットの知識を持った経験豊富なポストエディターが、機械翻訳の訳文の最適化を迅速に行います。

十印のポストエディットの国際標準規格ISO18587に基づく高品質なフルポストエディットサービスで、機械翻訳による訳文の精度をスピーディーに高めます。

高品質なポストエディットサービスをご検討中なら、是非、十印にお問い合わせください。

まとめ

十印は、文書・映像などの各種翻訳、ポストエディットなど、歴史ある翻訳会社ならではの翻訳のプロによるトータル翻訳サービスを提供しています。AI機械翻訳ツールのご利用から翻訳まで、翻訳に関するお問い合わせなら、お気軽に十印までご相談ください。

ポストエディットについてはこちら
ポストエディットバナー

十印のAI翻訳サービスT-tact AN-ZIN®についてはこちら

▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。                   
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

backtotop