2024.08.19

機械翻訳後のポストエディットが欠かせない理由とは?

機械翻訳の広がりと共に、ポストエディットの需要が高まっています。ポストエディットは聞きなれない言葉と思われるかもしれませんが、機械翻訳の後には欠かせない工程となっています。

機械翻訳の精度が上がっても、翻訳内容が正しいかどうかは人がチェックする必要があるのが現状です。機械翻訳後にポストエディットを行うことで、機械翻訳のスピーディな翻訳と、人手による精度の高さを活かした翻訳が可能になるというメリットがあります。

本稿では、ポストエディットとは何か、ポストエディットが機械翻訳後に欠かせない理由について説明します。

ポストエディットとは?

ポストエディット(Post Edit)とは、後編集という意味です。AI翻訳ツールをはじめとした機械翻訳後に、人が訳出された訳文のチェックを行い、不適切な個所を修正する作業です。

ポストエディットには2種類あり、理解可能な訳文であればよしとする「ライトポストエディット」と、人の手による翻訳に匹敵する訳文の「フルポストエディット」があります。注意点としては、ライトポストエディットは一般的なポストエディットの規格対象外であるところです。

いずれのポストエディットを選ぶかは、テキストの種類や納期、完成翻訳レベルなどを考慮して決定します。

ポストエディットの国際規格「ISO18587」

ポストエディットには、「ISO18587」と呼ばれる国際標準規格があります。国際規格「ISO18587」は、ポストエディット業務の標準化を目的として、2017年にリリースされました。ポストエディットの作業概要やプロセス、修正レベル、観点、目的、ポストエディターとしての資格、トレーニング観点など、ポストエディットを行うための様々なガイドラインが記載されています。

「ISO17100」は翻訳の国際規格です。いずれもノウハウの一定の目安になるため、ポストエディットを依頼する際は、「ISO17100」を取得しているかどうか、「ISO18587」に則った作業が可能な翻訳会社かどうかを確認するとよいでしょう。

ポストエディットが必要な理由

近年の機械翻訳は進化しており、場合によってはそのまま訳出した文章を利用できるほど高品質な翻訳が可能な場合もあります。しかし、いかに進化した機械翻訳でも、基本的に人の手によるチェック・修正が必要になります。なぜなら、一見何の問題もないように見える文章の中にも明らかな誤訳があったり、一文がそっくり抜けていたりという機械翻訳特有のエラーが起きかねず、最終的には翻訳結果が正しいかどうかを人しか確認できないためです。

いつかAIが文章のチェックをしてくれる日が来るかもしれませんが、現時点では、機械翻訳をチェックできるのは人間だけです。そのため、機械翻訳後のポストエディットの工程は欠かせないのです。

ポストエディットのメリット

機械翻訳後にポストエディットを行うのは、機械翻訳が完璧ではないからです。しかし、機械翻訳の翻訳スピードは人の手による翻訳スピードとは比較にならないほど迅速で、スピーディに翻訳をしたい際には機械翻訳は欠かせません。しかし、参考資料など状況に合わせた翻訳や、文章全体での漢字・かな表記や表現のトーンの統一、主語のない文の正しい翻訳などは機械には難しく、ポストエディットが必要になります。

このように、機械翻訳でスピーディに翻訳できる点、人の手によるポストエディットで正確に統一感のある文章へと仕上げられる点という二つが最大のメリットです。

上手なポストエディットの依頼先選びと依頼方法

ポストエディットは一般的な翻訳とは異なります。そのため、ポストエディットを依頼する際は、国際規格「ISO18587」に則った作業が可能かどうか目安に、ポストエディットを扱っている翻訳会社に依頼すると安心です。

依頼の際は、フルポストエディットやライトポストエディットなど、どの程度の品質を求めるのかを明確にしましょう。多少ぎこちなくても正確な内容であればよしとするのであれば、機械翻訳とポストエディットの組み合わせは時間的に大きなメリットがあります。

しかし、機械翻訳後にポストエディットで高精度の翻訳を求めると、機械翻訳による訳文の精度と求める最終的な完成レベルによっては、修正に時間がかかりすぎることがあります。その場合は、結局人手翻訳と同じぐらいの時間がかかってしまいます。そのため、時間、納期、品質などの優先順位に合わせて、ポストエディットを依頼することが大切です。

十印のポストエディット

十印では、お客様のご要望に合わせ、ライトポストエディットからフルポストエディットまで、高い翻訳・ポストエディットの知識を持った経験豊富なポストエディターが、機械翻訳の訳文の最適化を迅速に行います。

ポストエディットの国際標準規格ISO18587に基づく高品質なフルポストエディットサービス以外にも、短期間での納品をご希望ならライトポストエディットも承ります。

高品質なポストエディットサービスをご検討中なら、経験豊富な十印にお問い合わせください。

まとめ

十印では、文書・映像などの各種翻訳、ポストエディットなど、歴史ある翻訳会社ならではの翻訳のプロによるノウハウで、トータル翻訳サービスを提供しています。十印では、AI機械翻訳ツールのご利用からポストエディットまで、お客様に寄り添いサポートします。翻訳に関するお問い合わせなら、お気軽に十印までご連絡ください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。                   
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

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