2024.06.12

機械翻訳とポストエディットで求められるものとは?

グローバル化が進むと共に、翻訳機会が増えています。しかし、翻訳会社に依頼するにはそれなりに時間もコストもかかります。機械翻訳ツールを導入しても、社内に対象言語の翻訳のできる人がおらず、翻訳結果が正しいかどうかがわからないという悩みを抱えているご担当者も多いのではないでしょうか。

このようなお悩みの解決には、機械翻訳後にポストエディットと呼ばれる工程との組み合わせがおすすめです。

本稿では、急速に発達したAI翻訳ツールをはじめとした機械翻訳後のポストエディットとは何か、ポストエディットでは何が必要なのかについて解説していきます。

進化した機械翻訳:デメリットをポストエディットで解決

近年の機械翻訳、特にAI翻訳ツールの発展には目を見張るものがあります。無料翻訳ツールも出回っているため、気軽に利用できるようになり、利用経験のある方も多いのではないでしょうか。

機械翻訳のメリットは、人と比べて圧倒的に速い翻訳スピードです。近年のAI翻訳ツールでは、人に近い翻訳ができるほど精度も上がっています。

機械翻訳のデメリットは、状況に応じた翻訳ができないため一定量の誤訳がある、専門用語に対応できない、文書中の用語の統一が難しいなどが挙げられます。

機械翻訳のデメリットに対して対処できるのが「ポストエディット」です。

機械翻訳とポストエディットの関係とは?

機械翻訳の精度が人手と同じレベルに達しない場合、「ポストエディット」と呼ばれる編集や手直しで正確性や流暢性を修正し、翻訳精度を上げることができます。

ポストエディットでは、「フルポストエディット」と「ライトポストエディット」があります。人手翻訳とほぼ同じレベルの修正は「フルポストエディット」と呼ばれ、大まかな内容が理解できるレベルに訳文を修正するのは「ライトポストエディット」です。

機械翻訳の精度が高ければほとんど修正が必要ないケースもありますが、その判断も人が行う必要があります。そのため、機械翻訳とポストエディットはセットとして、翻訳結果を修正するかどうかの判断を含めての作業で、切っても切れない関係だといえるでしょう。

機械翻訳とポストエディットで求められるものは?

機械翻訳とポストエディットの組み合わせでは、求められる翻訳レベルに達するよう、誤った個所を修正するだけではなく、流暢性や文化的配慮なども必要になってきます。近年の機械翻訳ツールは進化しており、以前と比べてぎこちなさは減ったものの、訳抜け、状況に合わない語彙、文体の不統一などは避けられません。日本語のように主語がなくても文が成り立ってしまう場合は、勝手に主語を選ぶなど、ポストエディットによる人手のチェックがなければ、大意を理解するのも難しいケースがあります。

ポストエディットは、依頼されたレベルへの翻訳文の修正です。文化的配慮、専門用語の翻訳精度追求、文書全体の語彙の統一など、具体的な希望があればそれに応える作業を行います。限られた納期とコストでポストエディットを行うには、精度の高い翻訳結果と伝えられた作業をこなせるスキルを持った人材が欠かせません。そのため、ポストエディットの依頼先選びは、国際標準規格 ISO 18587の有無も考慮し、慎重に行う必要があります。

ポストエディットの上手な依頼方法のコツ

ポストエディットを機械翻訳後に行い、納得のいく翻訳に仕上げるには依頼方法にちょっとしたコツがあります。

まず、機械翻訳ツールによる翻訳結果の精度を高めるところからはじめます。そのためには、もとの文をあらかじめ次のポイントに注意して変更してみるとよいでしょう。

・ もとの文の修正:長い文は2つに分ける、主語を省略しない、文のねじれを修正
・ 専門分野の翻訳では特化エンジンを利用

次に、納期、予算、精度の明確化と優先順位の決定です。翻訳会社に依頼する際は、目的に合わせて優先順位を明確化しないと、ポストエディット後に「思っていたのと違う」という残念な結果になってしまう可能性もあります。そのため、ポストエディットの依頼先に相談する際は、希望する仕上がりレベルと文書の利用目的、予算や納期を伝えるようにしましょう。

十印のポストエディット:MTPEサービス

十印では、MTPE(Machine Translation + Post-Edit)サービスをご提案しています。機械翻訳ツールによって生成された翻訳文を、人手によって修正・改善する作業です。

お客様のご要望に合わせ、ライトポストエディットからフルポストエディットまで、高い翻訳・ポストエディットスキルのある経験豊富なポストエディターが、機械翻訳の訳文の品質向上を可能にします。

十印では、ポストエディットの国際標準規格 ISO 18587に基づく高品質なフルポストエディットサービス、短期間での納品をご希望ならライトポストエディットも承ります。

目的に合わせた高品質なポストエディットサービスをご検討中なら、経験豊富な十印にご相談ください。

まとめ

十印では、文書・映像などの各種翻訳、ポストエディットなど、歴史ある翻訳会社ならではの翻訳のプロによるノウハウで、クオリティの高い幅広い翻訳サービスを提供しています。十印では、AI機械翻訳ツールのご利用からポストエディットまで、お客様に寄り添ったサポートを致します。翻訳に関するお問い合わせなら、お気軽に十印までご連絡ください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。                   
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

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