2024.09.10

ポストエディットとは?メリットと上手な使い方

AI翻訳をはじめとした機械翻訳の利用機会が増えると共に、「ポストエディット」という言葉を耳にすることも多くなりました。しかし、ポストエディットの意味がよくわからない、なんとなくは知っていても今さら誰かに聞くのも恥ずかしいという方も多いのではないでしょうか。
本稿では、すっかり普及したAI翻訳ツールとセットにして使われるポストエディットについて、その役割とメリット、上手な活用の仕方について解説していきます。

ポストエディットとは?

「ポストエディット」は、「後編集」とも呼ばれ、機械翻訳で生成された訳文を人がチェック・修正する作業です。ポストエディットでは、訳抜けや誤訳などの修正、流暢性、文体の変更以外にも、資料など補足情報を元にコンテクストに合った内容修正も行います。

近年機械翻訳ツールの精度は驚くほど向上していますが、訳出された文章が正確であるかどうかの確認には利用できません。そのため、修正が必要なのか、一部または大幅修正を行うのかの判断は、ポストエディットを行う人、つまりポストエディターに委ねられます。

このように、機械翻訳の利用が進むと共に、ポストエディットの工程は重要な役割を担うようになりました。

ポストエディットの役割とメリット

ポストエディットの役割は、機械翻訳の生成した訳文の精度向上です。ポストエディットの業務は、訳抜け、誤訳のチェックだけではありません。微妙なニュアンスの修正、文脈に合わせた翻訳など、人の手による修正が最終的な翻訳の品質を左右します。

ビジネスのグローバル化に伴い翻訳機会は増えており、これまでのように英語と日本語のみならず、多言語化の必要なシーンも多くなっています。そのため、今まで通りの翻訳方法では十分ではなく、新たな方法を模索する必要が出てきました。そこで、近年機械翻訳ツールが使われるようになったのです。

機械翻訳は圧倒的な翻訳スピードで翻訳作業を行える反面、精度の不安というデメリットがありました。機械翻訳とポストエディットの組み合わせは、精度の不安を払拭しつつスピーディーな翻訳を可能にしました。

フルポストエディットとライトポストエディット

ポストエディットには、フルポストエディットとライトポストエディットの2種類があります。

フルポストエディットは、人手による翻訳と同等または近いレベルへの修正を行います。ポストエディットには「ISO 18587」と呼ばれる国際標準規格があり、そのガイドラインに沿った工程での修正になります。

一方ライトポストエディットは、内容が大まかに理解できるレベルへの修正となり、フルポストエディットよりも短時間で修正できるところがメリットです。ただし、ライトポストエディットは国際標準規格ISO 18587の対象外になります。

フルポストエディットとライトポストエディット、それぞれにメリットがあるため、使用目的、納期などに合わせて、最適なポストエディットを選択しましょう。

ポストエディット依頼時の注意点:上手な使い分け方

ポストエディットは、機械翻訳による翻訳精度の不安を取り除くのに有効な方法です。しかし、機械翻訳の利用による翻訳時間の大幅な短縮というメリットを活かすのであれば、求める品質についても考えなければなりません。なぜなら不適切なポストエディットの選択をしてしまうと、品質が納得できない、納期が思っていたより長いなどの不満につながってしまうからです。

機械翻訳とポストエディットの組み合わせは、翻訳よりもかなりスピーディーな印象ですが、要求品質が高ければ、翻訳と同じぐらいの時間がかかる場合もあります。

そのため、品質よりも納期とコストが優先であればライトポストエディットで意味が伝われるレベルへの手直し、精度が高い翻訳が必要な場合はフルポストエディットで品質向上と、翻訳の利用分野によって使い分けをするとよいでしょう。2種類のポストエディットの上手な使い分けで、機械翻訳の最大のメリットであるスピードを活かしつつ、精度としても納得のいく翻訳となります。

十印のポストエディット

十印では、お客様のご要望・翻訳目的に合わせ、ライトポストエディットからフルポストエディットまで、高い翻訳・ポストエディットの技術を持った経験豊富なポストエディターが、機械翻訳の訳文の最適化を迅速に行います。

十印のフルポストエディットは、ポストエディットの国際標準規格ISO18587に基づいたポストエディットサービスです。AI翻訳によって訳出された文章を、専門分野に通じたポストエディターによるフルポストエディットで精度を高め、バイリンガルチェックを経て、ご利用目的に合わせて人手による翻訳に近い翻訳へと修正します。また、お急ぎの場合は、ライトポストエディットのご利用も可能です。

高品質なポストエディットサービスをご検討中なら、是非、十印にご相談ください。

まとめ

十印では、文書・映像などの各種翻訳、ポストエディットなど、歴史ある翻訳会社ならではの翻訳のプロによるトータル翻訳サービスを提供しています。

AI機械翻訳ツールのご利用から各種翻訳まで、翻訳に関するお問い合わせなら、お気軽に十印までご連絡ください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。                   
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

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