2024.10.08

トランスクリエーションで感覚の違いを乗り越える

翻訳は、言葉の壁を取り払ってくれると言われています。しかし、翻訳された文章はなんとなく違和感があったり、理解しにくい文章であったり、時には全く理解できないケースがあるのも事実です。また、言葉の違いが原因でコミュニケーションがうまくいかないと感じるのは、たとえ単語レベルでは正しく翻訳できていても、文化・習慣の違いによる感覚の違いが反映されていないからです。

本稿では、文化・習慣の違いや言葉の違いによる感覚の差異を乗り越えるための翻訳「トランスクリエーション」について解説していきます。

言語の違いは思考の違い

言語が異なると、思考も当然異なります。そのため、日本人にとっての「当たり前」は海外の人にとって当たり前ではないことも多々あります。そのため、状況が理解できない、翻訳された単語の意味は分かるのに内容がよく理解できない、このような状況が起こり得ます。

ヨーロッパ言語などでは、主語が必須、もしくは動詞の活用によって主語が明確です。一方で日本語の場合は、主語がなくても読み手がそれぞれに解釈できる自由があるため、日本語へ翻訳する際に翻訳者次第で意味が変わる可能性があります。また、日本語では単数・複数の差がなくても、外国語に翻訳する際にはどちらかを選ぶ必要があるため、日本語からの翻訳によって解釈の幅が狭まってしまうかもしれません。

このように、読み手による解釈の自由度の高い日本語は、共通の概念がないと理解しづらい単語が多く見られます。ベースの異なる外国語に翻訳されると、思考が異なるために理解ができないという状況にもなりかねません。反対に、外国語から日本語へ翻訳する際も、同じ文化背景のない日本人が読むとピンとこない文章になる可能性もあります。

言語や文化が違うと感覚も違う

言語が異なれば、ある単語から想起するイメージが違うのも珍しくありません。例えば「ヒツジ」という言葉を聞いても、日本人にはやさしい、かわいいなど、プラスのイメージがわくでしょう。しかし、フランスでは自分の意見がなく受け身で御されやすいというマイナスなイメージがあるのです。
色に関しても、夏に日本人が好む色は涼しげな青系統が多いですが、ヨーロッパでは黄色やオレンジといった太陽を想起させるような色合いが好まれます。

また、日本人が海外の学校や会議で積極的に発言しないとやる気がないとみなされるなど、文化の違いで意図せずして誤解を与える可能性があるのです。

このように、一つのことから想起するイメージは、言語や地域によって大きく異なり、感覚の違いは文章の理解にも、大きな影響を与えます。

言語や文化・習慣の違いの溝を埋めるトランスクリエーション

翻訳文を目にする機会が多くなった昨今、元の言語と日本独自の文化・習慣との違いのために、翻訳に違和感を持つ機会も増えているでしょう。インターナショナルな環境に身を置く機会がなくても、インターネットさえあれば世界中どこでもつながれる現代だからこそ、言語だけを見て感覚の違いから違和感が増えているともいえます。

言語のみならず、文化・習慣の違いを考慮して翻訳することを、ローカリゼーションと言います。ビジネスにおいては、さらに現地で自然に受け入れられるように翻訳するトランスクリエーションも有効です。

トランスクリエーションはキャッチコピー的な役割で、ターゲット顧客に最適化した表現によって自然に受け入れられるようにすることが目的です。

言葉の壁のみならず、文化・習慣や嗜好の違いによる感覚の差異を埋め、自然な表現での翻訳でマーケティングを効果的に行うには、トランスクリエーションの利用が功を奏するでしょう。

十印のトランスクリエーション

十印では、丁寧なヒアリングに基づき、お客さまに最適なトランスクリエーションをご提案します。十印には、トランスクリエーションの豊富なノウハウと経験があるため、ブランドや商材のイメージに最適かつ、お客さまのご要望に合わせたご提案が可能です。

日本人の感覚に合わせ、嗜好や流行、文化・習慣に配慮したターゲット顧客の欲しい情報により、マーケティング力アップと効果的なブランディングを可能にします。トランスクリエーションをお考えなら、ぜひ十印にお問い合わせください。

まとめ

十印では、半世紀にわたり翻訳に関するノウハウをもとに、製品特徴や企業・ブランドのイメージが効果的に伝わる翻訳を行っています。お客さまのご要望に合わせ、原文に忠実な翻訳から現地向けに最適化するローカリゼーション、商品やブランドのストーリーを伝えられるトランスクリエーションまで、グローバルビジネスでの訴求を成功させるお手伝いをします。

ターゲット顧客・エリア・商材に合わせ、現地向けに最適化された内容や理解されやすい表現といった印象に残るトランスクリエーションを行い、マーケティング力向上へと導きます。

トランスクリエーションでグローバルなビジネスの訴求効果アップをお考えなら、どうぞ十印にお気軽にお問い合わせください。

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▶著者紹介

株式会社十印 マーケティング部
石川弘美

1990年に株式会社十印に入社し、マニュアル制作に従事。日本語原稿の書き起こしから、多言語マニュアル制作のディレクションまで、幅広い業務を担当。
2002年より、ローカリゼーション・プロジェクトのマネジメントを中心業務とし、同社の数々の大型プロジェクトの進行管理を担当。2009年よりはマーケティング部にて宣伝広報活動とともにマーケティング活動を行う。2018年より一般社団法人日本翻訳連盟理事、アジア太平洋機械翻訳協会理事。

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