TOEICの点数で翻訳者の実力は測れる?
英語能力を測る試験として一般的に普及しているTOEIC。一方で、TOEICで点数が高いことは、翻訳者として優秀であることを意味するのでしょうか。こちらでは、TOEICの点数と翻訳者としての能力の関係についてお話します。
TOEICでわかる能力
TOEICの一般テストは、495点のリスニングと495点のリーディングで構成された、990点満点のテストです。多くの問題は、ビジネスシーンでの基本的なコミュニケーションを想定して作られています。スピーキング、ライティングの能力を測る「TOEIC S&W」という試験もありますが、上述したリスニング、リーディングの試験のほうが一般的です。
TOEICで高得点を獲得している場合、基本的なビジネス英語を理解できる能力を有していることを意味します。さらに、リーディングの試験は制限時間がネックになることも多いため、高得点はスピーディーな読解力があることの裏付けにもなります。
一方で、ゼロから英文をクリエイトする能力は、一般テストの点数だけでは判断できません。点数に対して、発音の美しさが伴っていない場合もあります。TOEICで高得点を獲得しているのにもかかわらず、英語でうまくコミュニケーションできない方は少なくありません。
TOEICで翻訳者の能力を判別可能か?
英日・日英翻訳に限ったとしても、翻訳者に求められる能力は多岐にわたります。英語の能力だけではなく、日本語の能力も必要です。言語への深い理解があったとしても、翻訳対象分野の知識がなければ正確な翻訳は困難でしょう。わからないことを効率的に調べる能力も求められます。
チームワークで仕事する機会も多く、コミュニケーション能力やタスク管理能力も求められます。翻訳ツールを使うことを考えると、コンピューターリテラシーも必要能力に含まれるでしょう。
TOEICでわかる能力は、翻訳者に必要な能力のごく一部です。そのため、TOEICの点数だけで翻訳者を評価することはできません。TOEICはあくまで、基本的な英語力を測るひとつの指標です。
一方で、TOEICの高得点が翻訳者にとって無駄になるわけではありません。900点を超えるような高得点であれば、少なくとも翻訳者としてスタートラインに立てる英語力を有している証明になります。上述したような英語力以外のスキルを身につければ、翻訳者として活躍できる可能性は十分にあります。
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多くの翻訳会社がTOEICの高得点を採用基準のひとつとして設けています。ただし、決して採用を決定づける要素になることはありません。TOEICの点数以上に、翻訳の実務経験やツールの使用経験、特定分野の知識が重要です。十印は言語の理解だけではなく、今回ご紹介した翻訳者に求められる能力に注目して採用を行っております。