2018.01.31

「翻訳者」と「通訳者」の違いとは

「翻訳者」と「通訳者」はどちらも語学に長けており、異なる言語でのコミュニケーションをサポートします。一方で、有しているスキルには違いがあるため、目的別にどちらを選ぶか決めなければなりません。こちらでは、「翻訳者」と「通訳者」の定義、仕事の違いについて説明します。

翻訳者とは

翻訳者は、異なる2言語の間で「翻訳」を行い、コミュニケーションをサポートする役割を担います。「翻訳」とは、ある言語で書かれた文章(書面・テキストデータ)を、同じ意味の別の言語へと変換することです。企業の資料・マニュアル、映画のセリフ、小説など、さまざまな媒体が翻訳の対象となります。

通訳者とは

通訳者は、異なる2言語を話す話者の間で、「通訳」を行います。「通訳」とは、会話情報を聞き取り、その場で別の言語へと変換して声で伝える仕事です。海外からの来賓を迎えた企業会議、外国人患者に対応する病院、観光業界などで通訳者が活躍しています。

翻訳者と通訳者はどう違うのか?

翻訳者と通訳者の仕事における明確な違いについてお話します。

■仕事のリアルタイム性
翻訳者は与えられたテキストからクライアントの意図をくみ取り、時間をかけてもうひとつの言語へと変換したテキストを作り上げます。仕事の納期にもよりますが、1件の翻訳にはある程度の時間がかかります。

一方で、通訳者は耳に入る言語を一瞬で別の言語へと変換して口にします。「逐次通訳」と呼ばれる仕事では、話者は通訳のために会話を区切りますが、同時通訳は絶え間なくヒアリング・言語・変換・声での情報伝達を繰り返さなければなりません。

■緻密に伝えるか、大胆に伝えるか
翻訳者と通訳者は、伝え方も違います。通訳者は、いわば話者に代わって異言語でのスピーチを担う存在です。話者の意図をスピーディーにくみ取り、時には大胆に伝えることが求められます。対して、翻訳者の仕事はテキストで残るため、通訳者のように一瞬ではなく中長期的に評価の対象となります。そのため、言語変換の仕事は緻密です。言語的知識以上に、翻訳対象の専門的知識が重要視されることもあります。

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上述したように通訳・翻訳はまったく違う仕事です。「優秀な通訳者」と「優秀な翻訳者」は、必ずしもイコールではありません。言語の習熟度だけでなく、期待する仕事に応じて最適な人材を選ぶ必要があります。

「外国語に堪能」という情報だけで、仕事をアサインするのは危険です。シチュエーションに応じて通訳者、翻訳者を使い分けましょう。

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